若手技術者のロボット開発プロジェクト、放電加工会社がコロナ禍で立ち上げた理由

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実際に働く遠隔操作ロボット(左)と別チームの試作品

若手開発プロで人材育成

放電精密加工研究所は新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込みがちな製造現場の意欲や技術を高めるため、若手技術者によるロボット開発プロジェクトを2020年に立ち上げた。成果として、プレス機などを製造する産業機械事業部の主力工場の大和事業所内に、プロジェクトのチームが開発した遠隔支援ロボットを受け付け業務などに活用している。現在はプレス事業の2拠点の取り組みだが、全社的なプロジェクトにしたい考えだ。(相模支局長・石橋弘彰)

産業機械事業部を担当する村田力取締役によると、プロジェクトを始めるきっかけは「新型コロナ感染症拡大で在宅勤務が増え、『遠隔で動くロボットがあれば効率よく仕事できる』という社員のつぶやきだった」と振り返る。

放電精密加工研究所が得意とする高精度のサーボプレス機でも、IoT(モノのインターネット)や自動化技術による高度化が求められている。だが、情報通信やソフトウエアの知識を持つ技術者の採用や育成は難しくなっている。そこで「ロボット開発を人材育成策として行えば、必要な知識を持つ人材が増える」(村田取締役)と考え、有志によるプロジェクトを20年4月に立ち上げた。

プロジェクトには約20人が手を上げ、大和事業所で2チーム、金型を製造する若狭事業所(福井県若狭町)に1チームによるロボット開発が始動した。プロジェクトを監督した稲田篤盛産業機械事業部ものづくり担当部長は、「チームによっては趣味でロボットを扱っている人もいて、知識面の格差はあった」と話す。1週間に1度のミーティングを繰り返し、他チームとの情報交流なども行いロボット技術を学んだ。

秋頃には遠隔操作できる接客ロボットが完成した。大きさは、幅450ミリメートル、高さ1000ミリメートル、奥行き450ミリメートル。上部にタッチパネルを備え、来客はパネルを使って受付担当に連絡する。カメラによる画像認識機能やプレゼンテーションにも利用できる。事業所内で受付を手伝うまでに至った。今後、リモートによる会話機能や、呼びたい社員の内線に直接電話できる機能を盛り込みたいという。

大和事業所の別のチームは荷台を後部に備えて製造現場の部品などを搬送できるロボットを試作した。若狭事業所のチームは、全員がロボットの知識を持っておらず苦労が多いというが、他チームの支援を受けつつ遠隔操作、工場巡回、リモート会話の機能を持ったロボットの開発を続けている。

チームに参加する大谷知久産業機械事業部金型設計係係長は「知識を学び成長している実感がある。プロジェクトで得たものを金型設計や生産準備の効率アップに生かしたい」と笑う。村田取締役はプロジェクトを継続し、人材育成に役立てたい考えだ。

日刊工業新聞2021年4月27日

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