20代の認知度向上、資産運用アドバイザー「IFA」が増えている理由

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販売チャンネル多様化

特定の証券会社に属さずに中立的な立場で資産運用のアドバイスをする独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)が増えている。証券会社の営業員のように販売ノルマなどがなく、多様な商品を取り扱える。また転勤もないため顧客と長期で関係を構築できるとされる。SBI証券や楽天証券などのネット証券に加え、いちよし証券や東洋証券のようにIFAビジネスを展開する中堅証券会社も増加。自社の営業部門に留まらず、販売チャンネルの多様化が進む。(高島里沙)

いちよし証券は、子会社のいちよしファイナンシャルアドバイザー(IFAK)を20年1月に設立してIFA業務を始めた。IFAKはいちよし証券と金融商品仲介業に関する業務委託契約を結ぶ形を取る。IFAKは現在IFAを募集中で、研修をへて5月以降に第1号が現れそうだ。

同社の特徴は、経験・未経験を問わず募集していることだ。力武善久執行役員は「当社の考え方に賛同してもらえる未経験者の採用を重視している。仲介業者としての会社を設立したことで体制が一つに整い、コントロールしやすい」という。売買取引で手数料を稼ぐのではなく、預かり資産残高を積み上げるストック型のビジネスモデルを重要視し、未経験の方がこの考え方に賛同してもらいやすいとしている。保険代理店のベテラン外務員をイメージし、IFAとは別の本業があり、IFAと兼業できる人が望ましいという。

IFAは中小型ファンドを中心にいちよし証券の商品を扱い、報酬体系は投資信託などの残高による実績報酬だ。1年ごとの契約更新で、更新回数に制限はない。勤務スタイルは非出社型。タブレット端末を提供するため、IFAにとっては、自らそろえるよりもコスト負担は減る。同社専業でのIFAとなるが、IFAKがいちよし証券以外の証券会社と提携することは可能だ。

東洋証券は4月にIFAビジネスを始めた。自社営業部門に加え、IFAを経由して複数チャンネルを持つことで商品を充実させサービス向上につなげたいとする。

開業から1年に満たない金融商品仲介業者のW&P(東京都渋谷区)は、みずほ証券の元社員を中心に構成される。20年6月の開業時に約29億円だった預かり資産は、21年3月末に約90億円と3倍以上増え、営業収益は800万から4200万円に伸びた。

W&Pの三枝浩紀社長は、IFAの人数と預かり資産が増えたら、証券会社からのIFAに対する還元率は上がり顧客サービスの充実につながるとしながらも「目標があるとかえって顧客と利益相反が生じる可能性もある。目標などは定めずに裁量権を持たせるシステムをとる」と話す。業務委託契約を結ぶIFAの報酬体系は、個人に対する還元率が70―96%と高い。成果報酬型で、パソコンや電話など環境利用に対する最低限のフィー(手数料)を取る。

同社には一から自分で戦略を考えて提案したい人が集まるという。証券会社と違いノルマやジレンマを抱えることなく、自分で裁量を持ちながら顧客ニーズに応えられるからだ。三枝社長は「IFA業者も乱立しているが、会社として独自色を濃くするつもりはない。顧客と長期で関係構築したいIFAが集まっており、IFAの認知を高めていきたい」と業界全体での立ち上げと定着を目指す。

IFA、20代でも認知度向上

2004年に金融商品仲介業制度が導入されたことをきっかけに、証券会社の委託を受けることで有価証券の勧誘や売買仲介ができるIFAが広がった。日本証券業協会の資料によると、IFAの人数は20年12月時点で約4300人。04年12月の419人から、約10倍に伸びている。14年に3000人を突破した後もIFAの人数は着実に増加している。

当初は引退間際の営業員が多かったものの、この5―6年で人数も増え始め、20―30代半ばの証券会社の営業員がIFAに転換するケースも増えており、全体の増加を支えている。

IFAは米国で普及しており、チャールズ・シュワブやエドワード・ジョーンズはIFAの代表格だ。従来のように株や投資信託の高頻度での売買取引で手数料を稼ぐのではなく、顧客の資産残高を増やし、それに応じて手数料をもらうアドバイザリー型の手数料体系を特徴とする。

日本でIFAの認知も向上する中、大手証券会社もアドバイザリー型の手数料体系の導入に向けて準備を始めた。証券業のビジネスモデルが国内でも少しずつ変わりそうだ。

日刊工業新聞2021年4月30日

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