半導体不足に怯まないトヨタ、販売台数維持の秘訣
世界的な半導体不足で自動車各社が減産を迫られる中、トヨタ自動車が5―7月の国内生産で当初計画台数を維持することが分かった。6月、7月の生産台数は、日当たりで4月比10%程度を増産する計画で月産30万台以上を見込む。ルネサスエレクトロニクス工場火災の影響が不安視されていたが、サプライチェーンや調達力の強さで底力を見せている。26日までに主要仕入れ先などに向こう3カ月の国内生産計画を示した。5月は月産約20万台、6月は同31万台、7月は同32万台を見込む。
トヨタの販売は小型車「ヤリス」やスポーツ多目的車(SUV)「ハリアー」など新型車を中心に堅調に推移する。4月時点で受注残が「数十万台規模である」(部品メーカー首脳)ともいわれ、高水準の生産計画を掲げていた。しかし世界的な半導体不足に加え、3月にはルネサスの工場火災が発生。製品在庫が切れるとされた5月以降の生産への影響が注視されていた。
トヨタが影響を最小限に抑えているのは、東日本大震災以降に見直した調達情報システムの効果が大きい。部品ごとの在庫状況を細かく見える化し、1―4カ月分の在庫確保を要請。これが功を奏した。ただ半導体不足は当面続く見通しで、今後の市場環境によっては生産計画の変更を迫られる可能性もある。
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日刊工業新聞2021年4月26日