コロナ下で映画館はどうあるべきか、イオングループの答え
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の発出で、2020年4月から全国の映画館は相次いで臨時休業した。イオングループのイオンエンターテイメント(東京都港区)も全館で臨時休業したが、入場前の検温、マスク着用、座席間隔を空けたチケット販売など感染対策を徹底し、5月18日以降順次営業を再開。現在全94館で営業中だ。
映画館や劇場などで構成する全国興行生活衛生同業組合連合会のガイドラインでは、すでに座席制限は解除されたが、同社の劇場では今も座席を1席ずつ空けた販売を続ける。このうち15館では座席の両サイドに高さ1100ミリメートルの木製パーテーションを付けたボックス席を設置。「座席数は従来比の4割減になったが、広さは1.5倍になり、飛沫(ひまつ)を気にせず、お客さまが安心して映画鑑賞できるようにした」(笹嶋大輔フューチャーシアター推進グループグループマネージャー)。
前後の座席配置も半分ずらし、真後ろに席がないように配慮した。座席数の削減は売り上げ減少につながるが、「お客さまの安心を優先した結果」(同)と説明する。
映画館は密室空間で換気が悪いイメージが強いが、実は新型コロナ以前から換気機能は高い。厳しい基準の興行場法などにのっとって運営しているためだ。同社は大手空調メーカーの米トレインの「シネマ専用大型空調用ウイルス対策システム」を導入。集塵フィルターで浮遊菌などを捕集後、紫外線によって照射分解、光触媒で酸化無害化の3段階で空気を洗浄する。こうした対策を講じているものの、「この形がベストか。常に検証と研究を続けている。蓄積してきたノウハウを生かして最善策を採用する」(同)考えだ。(編集委員・丸山美和)
日刊工業新聞2021年4月14日