スマートスーツを全作業所に、大成建設が決断した事情
大成建設は作業着にスマートスーツを採用した「作業用補助スーツ」を全作業所に導入することを決めた。一部作業所で試験導入し、効果を確認した。今後、作業環境改善の一環で導入を促進するため、自社の作業所を対象に説明会や試着会を開催する。建設作業現場では作業員の高齢化が進む一方、作業員不足が深刻化している。同スーツの導入で、労働による体への負担や疲労を軽減する「軽労化」を図り、就業期間を延ばす狙いがある。
大成建設が開発した作業用補助スーツは、作業用スラックスにゴム製のスマートスーツを縫い込み一体化した作業着。手軽な作業支援ツールとして、2020年末に大成建設が建設業に特化した作業着として開発した。着脱が容易で着用しても違和感が少ないため、長時間の労働にも適している。腰をかがめると背筋をサポートしながら体幹を引き締め、腰への負担を約25%軽減する。
作業用補助スーツに使うスマートスーツは、農業、介護現場、工場・物流施設向けに北大発ベンチャーのスマートサポート(札幌市中央区)が、労働による体への負担や疲労を軽減する軽労化により、健康に働く時間を延ばす目的で開発した。
大成建設は毎年、全国約180カ所の作業所で新技術や新製品などさまざまな情報の提供や勉強会を開催している。同スーツについても説明会や試着会を開催し導入を促す。
現在、補助スーツ1着の価格は3万円程度だが、協力会社や作業員個人が購入するため普及に伴い2万円以下になる見通し。
日刊工業新聞2021年4月13日