京大病院が世界初の生体肺移植に成功。新型コロナ肺障害者へ
京都大学医学部付属病院は8日、新型コロナウイルス感染症の後遺症による重篤な肺障害の治療として、生体肺移植手術を7日に行ったと発表した。関西在住の女性患者に、息子の右肺の一部と夫の左肺の一部を移植する両側生体肺移植を11時間で実施。順調なら2カ月で退院、3カ月で社会復帰できる。脳死肺移植は海外で事例があるが、生体肺移植は世界初の報告という。
患者は2020年末、新型コロナに感染。心肺補助システム(ECMO)での治療が約3カ月続いていた。PCR検査で陰性となったが両肺が固く小さくなり機能回復が見込めず、移植以外の治療法がなかった。患者は集中治療室で慎重に経過観察中でドナー2人の経過は良好という。
生体肺移植ができるのは肺以外に臓器障害のない65歳以下の患者のみ。ECMO利用の新型コロナ患者の多くは、基礎疾患を持つか他の臓器に障害が出ている。京大病院は「対象は限定的となる」との見通しを示した。
日刊工業新聞2021年4月9日