三菱ケミカルが350億円でCFRP製車部品の生産を拡大、その勝算は?

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伊C.P.C.の現プレス工場(三菱ケミカル提供)

三菱ケミカルは350億円を投じ、イタリア・モデナ市でプレス成形や塗装、組み立てまで一貫した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製自動車部品の生産を拡大する。関係会社の伊C.P.C.の工場を増設。成形加工能力を従来比3倍に拡大し、2023年中に稼働する。三菱ケミカルは近年、CFRP中間基材やリサイクルにも相次ぎ投資しており、25年度に炭素繊維関連事業の売上高を現状の約2倍の4000億円に引き上げる。

三菱ケミカルは44%出資するC.P.C.を通じてCFRP自動車部品製造販売に携わってきたが、今回の大型投資で部品事業の拡大を本格化する。具体的には同社工場敷地を現在の2倍に拡張して建屋を増設。シャシーなどの大型部品を製造できる世界最大級の5000トン容量大型プレス機を3台追加して4台体制とするほか、中規模プレス機も複数台導入する。CNC加工機や塗装設備、組み立てラインも増強する。

また成形時のシミュレーションや設計を行うテクニカルセンターを現地に設置し、自動車メーカーへの軽量化ソリューションなどの提案力を高める。CFRP部品について「ティア1(自動車メーカーと直接取引する部品メーカー)のように活動していく」(和賀昌之社長)方針だ。CFRP成形品の中間材である、炭素繊維と樹脂を複合化した「プリプレグ」や「SMC」を欧州で生産。使用済みCFRPや端材のリサイクルを含むサプライチェーンを完成させる。

三菱ケミカルが川下の自動車部品製造を強化するのは、自動車の設計や生産プロセスが変わろうとしているためだ。強度が鉄の10倍で重さが4分の1の炭素繊維は現在、高級車中心に採用されているが、今後、軽量化部材として電気自動車(EV)や次世代モビリティーへ利用が一層拡大する。

CFRP成形を得意とする自動車部品メーカーはまだ少なく、C.P.C.の金型や成形技術に三菱ケミカルの素材技術を組み合わせ、市場をリードする狙い。まず高級車生産やEV開発が活発な欧州で実績や技術を蓄積し、将来はグローバルで事業を拡大する。

日刊工業新聞2021年4月6日

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