半導体の供給不足に自工会が動いた!TSMCに代替生産を直接要請
日本自動車工業会(自工会)がルネサスエレクトロニクス・那珂工場(茨城県ひたちなか市)の生産ライン稼働停止による車載半導体の供給不足懸念に対処するため、台湾積体電路製造(TSMC)に代替生産を要請したことが判明した。ルネサスは火災発生から3―4カ月後に出荷水準を戻す見通しを示しているが、自動車メーカー各社の生産への影響を抑えるため、日本政府によるTSMCへの要請とは別に自工会として直接働きかけた格好だ。
ルネサスはこれまでも車載半導体の生産の一部をTSMCに委託してきた。
自工会は火災で落ち込んだ生産量を補うため、TSMCに打診し、ルネサスによる生産委託量を実質増やす。この要請に対し、TSMCは基本的に引き受ける方向で検討を進めているという。増産幅や供給開始時期は今後の交渉で詰める。
那珂工場の火災発生以降、車載半導体の供給が不安定となり自動車メーカーの減産が視野に入ってきた。ルネサスが通常の供給量に戻るまでに一定の時間を要する。
年明け以降の半導体供給不足が表面化した際も政府や自工会は台湾当局に対して増産要請を求めていた。今回のルネサスの火災発生でさらなる打撃を受けないようにするため、梶山弘志経済産業相は「台湾の半導体メーカーに要請している」と明かしていた。
日刊工業新聞2021年4月2日