TDKが開発する車向けセンシングシステムの実力

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インホイールセンスは端末をタイヤとホイールの境界部に取り付けて使う

タイヤで発電、データ送信

IoT(モノのインターネット)技術が定着するなか、機器などのあらゆる情報をセンサーで収集して故障予防などに役立てるという動きが活発化している。自動車でも浸透してきており、車1台に搭載されるセンサー数は50個を超えると言われる。TDKでは車向けに新たな価値をアプローチできるセンサーの開発を進める。

TDKが開発する車向けセンシングシステム「インホイールセンス」は発電とセンシングができる端末「EHモジュール」を活用する。タイヤとホイールの境界部に取り付けて使う。次世代の自律走行車の安全性と快適性の向上に貢献するシステムとして提案する。

EHモジュールにはピエゾ素子(圧電素子)という圧力を加えることにより電力が発生する電子部品が搭載されている。タイヤが回転するたびに発電を行う。発電量は時速105キロメートルで直進走行時、平均連続出力1ミリワット。これは、低消費電力のマイクロコントローラーによるセンシングとデータの無線送信を行うのに十分な発電量だという。

また、速度変化や車体の旋回など車両の状況変化に応じて端末の起電力が変化する。これにより速度の検出や車体の状態、路面の状況など走行状態をリアルタイムでセンシングできる。これらの情報を基に「安全走行支援やタイヤメンテナンスサービスへの活用」(技術・知財本部)などにつなげる。

これまでタイヤ向けセンサーは電力供給の問題から搭載は困難とされていた。バッテリーで駆動し、空気圧や温度を検知する「タイヤ空気圧監視システム」以外はほとんど実用化されていない。同社は2年前にタイヤ向けセンシングシステムの開発に着手した。

現在は2023年のパイロット版リリースに向け、顧客企業との評価段階に入った。「主要顧客と見込むタイヤメーカーなどのニーズに合わせた製品に仕上げる」(同)とし、25年には本格的な量産を開始する予定だ。(編集委員・松沢紗枝)

日刊工業新聞2021年3月30日

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