沖縄電力が無償で太陽光・蓄電池を家の屋根に設置!先行募集の50枠は10日で埋まる

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太陽光発電設備や蓄電池を家庭に無償設置して電力供給する(住宅での設置例=沖縄電力提供)

沖縄電力は一戸建て住宅を所有する顧客が屋根を貸し、同社が無償提供する太陽光発電パネルで発電した電気を、災害時に蓄電池から確保できる家庭用サービスに力を入れる。毎年、台風が襲う沖縄で電力の安定供給を通じたユーザーの利便性向上につなげる。2050年の二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロの実現に向け、グループを挙げて取り組む再生可能エネルギーの拡大ともリンクする。

沖縄電力は4月1日、沖縄本島の一戸建て住宅を対象にPV―TPO事業「かりーるーふ」を始める。太陽光発電設備を無償で設置して電力供給する“屋根借り”のビジネスモデル。グループで全額を出資する沖縄新エネ開発(沖縄県北谷町)と進める事業で、同社が事業運営を担う。

PV―TPOサービスでユーザーは基本的に自宅屋根で発電した電気を自家消費する。料金は使用量に応じて支払う。設備所有者は運営側で、電力会社が小さな発電所を各戸に設けるイメージだ。出力6・6キロワットの太陽光発電パネル、容量4・5キロワット時の蓄電池などを屋根や家屋横に置く。設置の可否は日射条件などを診断して決める。導入・維持にユーザーの負担はなく、15年後の契約満了時に設備を回収する。

同様のサービスは新電力にあるが、大手電力グループで積極的に乗り出すのは珍しい。分散型の再エネの接続による系統への影響については「蓄電池がキーポイント」と、沖縄電の担当者は説明する。蓄電池が出力変動のクッションとなり、系統への影響を抑える効果があるためだ。

蓄電池は防災面でもメリットになる。蓄電池に非常用コンセントを備えており、災害などによる停電時にコンセントから100ボルトで電源を直接取れる。機器や使用量にもよるが、冷蔵庫とテレビ、スマートフォンの充電で「蓄電池が満充電なら2日間使える」(沖縄新エネ開発)という。

新サービス「かりーるーふ」の事業内容を発表する島袋清人沖縄電力副社長(左)と久貝博康沖縄新エネ開発社長(沖縄電力提供)

沖縄地域には頻繁に台風が襲来し、強い勢力のまま通過する。沖縄電では送配電設備の対策を取っているが、やむなく停電することはある。その場合も安心感を提供できるほか、ユーザーの「蓄電池への興味も大きい」(同)と感じている。

先行募集した50枠は募集開始10日間で満枠になり、幅広い顧客層の関心の高さをうかがわせた。今後、年間200件を目標にしつつ、再エネ推進の観点から最大限受け入れていく。当面は家庭用のみ提供するが、将来は自治体や工場向けの中規模設備を用いたビジネスモデルも視野に入れる。

半面、受け入れ態勢としてアグリゲーション(電力需給調整)の高度化も不可欠になる。沖縄電は2月、関連技術を持つネクステムズ(沖縄県宜野湾市)を関連会社化した。宮古島市の来間(くりま)島での地域マイクログリッド実証でも協業実績があり、分散型電源の遠隔監視・制御技術を強化する。

沖縄電グループにとってPV―TPO事業は、50年を目標とするCO2排出実質ゼロの実現においても大きな位置付けを占める。防災だけでなく、地球温暖化の抑止の視点でも貢献を目指す。(西部・三苫能徳)

日刊工業新聞2021年3月29日

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