東京ドームの近くに日本で唯一下水を熱源に有効活用する施設あり!

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下水熱交換器

下水道で集められた下水が持っている熱エネルギーを活用して、熱供給プラントで冷水、温水、蒸気を製造し、複数の建物に供給する施設がある。東京ドームに程近い文京区後楽1丁目地域で、下水熱で地域冷暖房をまかなうのは全国でもここだけだ。事業を手がけるのは東京下水道エネルギー(東京都中央区)。4月から東京電力エナジーパートナーの二酸化炭素(CO2)フリー電力の供給を受け、さらなる環境対応を図る。(編集委員・川口哲郎)

下水温度差利用

小石川後楽園のすぐ隣の後楽森ビルの地下に熱供給プラントがある。外堀通りに沿って地下に下水道管が走っており、そこから枝分かれする形で取水し、熱供給プラントに用いる。下水中のゴミを除去した上で、下水熱交換器に取り込む。これはエアコンの室外機の役割で、熱媒体を圧縮して加熱に用い、また熱媒体を減圧して冷却に用いる。例えば、37度Cの温水を47度Cに高め、15度Cの水を7度Cに下げる。

下水の水温は変動が小さく、安定しているという。冬は外気よりもずっと高く、夏は外気よりも低い。外気と下水の温度差を活用することで、熱源機の効率が高くなり、省エネが図れる。下水熱を活用する後楽1丁目地域は2015―17年度の3カ年平均で、一般のビル空調よりもエネルギーを37・2%削減できた。

熱供給プラントから冷暖房を提供するのは、東京ドームホテルや住宅金融支援機構本店、トヨタ自動車東京本社など周囲の6棟のビルだ。未利用の下水を熱源とすることで資源を有効利用でき、大気への排ガスもない。さらに4月からはプラントの利用電力をCO2フリーに切り替えていく。

脱炭素化推進

東京下水道エネルギーの松永哲郎社長は「あらゆる面で脱炭素が求められており、着実な一歩を進める。いずれの顧客も環境への関心が強く、期待に応えたい」と導入の狙いを語る。

熱供給プラントを運営する後楽事業所の電力使用は年間約500万キロワットで、4月からはまず30%をCO2フリーに切り替える。「比率を高めることや他の2事業所への導入も検討している」(松永社長)という。

下水熱は熱需要の多い都市部に多く存在する。後楽1丁目地域の地下を走る下水道管も都心に集積する飲食店からの排水が流れ、熱源が豊富にある。さらに、オフィスビルやホテルなど冷熱需要の高い顧客が近隣に多く、「需要と供給の条件がそろった後楽1丁目だからこそ下水熱利用が成り立つ」(同)。

未利用下水の熱源への活用は資源を無駄にしないという点で、大都市特有の問題解決になる。全国でも後楽1丁目地域だけだが、需要がある都心部への広がりが期待される。

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下水道 熱エネルギー

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