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鋳物メーカーが3Dプリンターでリードタイム6分の1、コスト3分1に!

鋳物メーカーが3Dプリンターでリードタイム6分の1、コスト3分1に!

3Dプリンターで試作したマンホール鉄ふた向け施錠部品

鋳物に応用、開発コスト3分の1

鋳物メーカーの虹技は2019年、レーザービーム型金属3Dプリンターを兵庫県姫路市内の工場に導入した。小型鋳物部門で作る上下水道用マンホール鉄ふたの施錠部品を試作した結果、製造コストや時間が従来に比べ短縮できた。責任者である開発部の田中康平部長に、導入の経緯やこれまでの成果、今後について聞いた。(姫路・村上授)

―3Dプリンターを導入した理由は。

「今後、斜陽が想定される鋳物事業で新事業の立ち上げが必要だと思い設備を入れた。ノウハウの積み重ねをしながら造形技術の確立を進めている」

―マンホール鉄ふた向けの施錠部品を試作しました。

「普段はロストワックスという精密鋳造により製造している。ただ、出来が良くなければ金型を作り直す。そうなると時間とコストがかかる。金属3Dプリンターを使えば外注でなく社内で寸法調整できるほか、ロスを減らせる。本来タップやダイスといったネジ切り加工で溝を出さないといけないが、3Dプリンターで公差の中間値くらいを狙い、後加工なしにできた」

―製作にかかるロスはなくなりましたか。

「従来のリードタイムは1カ月だが、3Dプリンターだと何回かトライしても5日で製作できた。今までは金型の作り直しがあったが、それがなくなる。また、3Dプリンターだと約12万円の費用で製作できる。従来の開発初期コストも3分の1程度にできた」

―鉄ふた用部品のほか、他分野での活用は考えていますか。

「製鉄所やゴミ焼却所で使うプラント設備向け送風機にも試作品のような小型部品を使っているとみている。送風機を手がける部門に声をかけている」

―ほかにも計画はありますか。

「試作品の製作だけでなく、今回の設備投資で鋳鉄以外の材料開発にも挑んでおり、その糸口を探っている。現在の3カ年経営計画が終わる22年3月期までには、何らかのめどを一つ立てたい」


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日刊工業新聞2021年1月21日

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