協働ロボットの市場が急成長!自動化需要を追い風に海外勢も新機種・新サービス

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20年10―12月期で過去最高の受注があったURの協働ロボ。この傾向は続きそうだ

協働ロボットが熱い。ファナックや三菱電機など国内大手産業用ロボットメーカーが新型協働ロボットを投入したことに続き、海外ロボットメーカーも新機種や新サービスの展開に乗り出している。新型コロナウイルス感染症の影響で以前にも増して鮮明になった自動化需要。小回りの利く協働ロボットが自動化の大きな受け皿になる。成長する市場に革新的な一手を打つため、各社の競争が激しさを増している。(川口拓洋)

検証から実導入へ エレ・医療系、活躍拡大

「2020年9月以降、強い需要がある。10―12月の受注は四半期では過去最高。21年1―2月もこの傾向が続いている」。足元の状況をこう話すのは、デンマーク・ユニバーサルロボット(UR)の山根剛日本支社代表だ。特にエレクトロニクス系の企業から受注が増えている。組み立てなど比較的軽量な製品を作り上げる工程で活用が加速。それ以外の医薬、化粧品の現場でもパッケージングやパレタイジング(荷積み)などで導入が進む。「数も出ている。検証ではなく実導入の局面に入ってきた」(山根代表)と語る。

同様に独KUKAの日本法人、KUKAJapan(横浜市保土ケ谷区)の大田紘社長も「協働ロボットも具体的な導入を目指すような中身の濃い引き合いが増えている」と話す。同社では20年12月から一般産業機械向けをメーンに受注が本格化している。

一般産業機械向け受注が本格化するKUKAの協働ロボ

各社とも足元の状況は良好と見ている。自動化や省人化対応でニーズが増していることは確かだ。そんな状況下で新型の協働ロボットを投入したのはスイスのABB(チューリヒ)。21年2月に2タイプの新型協働ロボット「GoFa(ゴーファ)」と「SWIFTI(スウィフティ)」を発売した。

ABBが2月に発売した新型協働ロボット「SWIFTI(スウィフティ)」

同社では15年から双腕型協働ロボット「YuMi(ユーミィ)」を展開しているが、協働ロボットのラインアップを拡充し、製造業だけでなく医療研究室や物流拠点などさまざまな現場での自動化を支援する。“家電並み”に使いやすくした「GoFa」と、産業用ロボットの作業スピードに近い「SWIFTI」で活用領域を拡大する。

「GoFa(ゴーファ)」

欧州勢だけでなく、アジアのロボットメーカーも動きが活発化している。日本を含めたグローバルで協働ロボットの導入を進める。特に、台湾のテックマン・ロボットや中国のJAKAロボティクス、韓国の斗山(ドゥーサン)グループが設立した協働ロボットメーカー「ドゥーサンロボティクス」などが有力だ。

ドゥーサンロボティクスは住友商事マシネックス(東京都千代田区)が19年11月から、国内の総販売代理店として事業を支援する。同社が展開する製品は3シリーズ全10種類。動作スピードが特徴の「Aシリーズ」、全軸トルクセンサー搭載のハイエンドモデルで作業性と安全性を両立する「Mシリーズ」、20キロ―25キログラムの高可搬重量が特徴の「Hシリーズ」を提供する。

住友商事マシネックス産機システム本部東日本PTC部の渡辺健太Cobotプロジェクト主任は「自動車業界や食品業界等から多くの引き合いがある。最近はHシリーズを発売したことで物流関係も増えてきた」と語る。ただ、同社は可能性を絞らず全産業での自動化を目指す。協働ロボットは人手の代わりと考え、大手から中小企業、町工場まで人手不足に悩む企業に貢献する方針を掲げる。

差別化が市場深耕 活用訓練サポート・アプリ展開

さまざまな担い手が参入している協働ロボット市場。各社に求められるのは“差別化”だ。URは「顧客体験価値(ユーザーエクスペリエンス)の向上」を差別化の取り組みと位置付ける。

協働ロボットを活用するためのトレーニングや周辺機器との接続、機能追加、人工知能(AI)などを推し進める。例えばトレーニングと言っても、リアル・オンライン・無料の3軸で取り組む。山根代表は「お客さまが使いやすいようにすることが必要。ハードだけでなくサービスやソフトは、各メーカーによって差異が出てくるところ」と認識を語る。

KUKAは分野を絞ったアプリケーション(応用ソフト)の展開で、差別化を進める。同社の協調(協働)ロボット「LBRiiwa(イイヴァ)」は7軸すべてにトルクセンサーが入っているため、微細な感応が特徴。インピーダンス(交流電流の流れにくさ量)制御でバネのような動きも可能で、これらをアピールする。「イイヴァはハンドリング(運搬)だけではもったいない。エンジンの組み立てなどアセンブリー(組み立て)にも適用できる」(大田社長)と話す。

子高齢化による労働人口不足や働き方改革、職場環境改善、品質向上、技能継承などは製造業の喫緊の課題だ。

協働ロボットはこれらを解決する可能性を秘める有益な製品。一方で、利用者が使いこなせる環境整備は十分とはいえない。メーカーによる機能拡張だけでなく、販売企業による教育やコンテンツの拡充、ロボットシステムインテグレーター(SIer)による技術向上、利用者のロボットリテラシーの向上などを進めることがさらなる市場深耕のカギとなる。

日本メーカーの動き

◆オムロンインダストリアルオートメーションビジネスカンパニーロボット推進プロジェクト本部長・山西基裕氏 機能一括提供 強み

外資だけでなく、国内企業も差別化や強みのアピールに余念がない。オムロンインダストリアルオートメーションビジネスカンパニーロボット推進プロジェクト本部長の山西基裕氏に話を聞いた。


競合が増え、協調(協働)ロボットの競争は激しさを増している。当社のユニークな点はパッケージ化して提供すること。例えばセンサーやセーフティーの技術を組み合わせパレタイジングに特化した協調ロボットを展開する。このほかネジ締めや研磨などもソリューションとして用意する。ロボットは1台目を導入しても2台、3台が続かない課題がある。当社はあらゆる自動化関連の機器を持つ。ロボットで何をするか具体的にイメージできることが導入への近道であり、これを支援する。(談)

人とロボットの協調作業(オムロン)

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日刊工業新聞2021年3月23日

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