「めちゃコミ」のアムタスが海外展開へ!オリジナル作品は累計1000タイトル
インフォコム子会社のアムタス(東京都渋谷区、山下正樹社長)が手がける電子コミック配信サービス「めちゃコミック」が好調だ。有料と無料を合わせた会員数は1300万人を突破。オリジナル作品を数多く抱えることで、有望な漫画家の知的財産を独占的に配信できるほか、読者の囲い込みにも寄与している。今後は著作権保護や多言語化対応などを図り、海外展開にも力を入れていく。(浅海宏規)
推奨精度を向上
「ユーザーの顔が見えない所がインターネットの難しい点。データで見えない部分の特徴をつかむように意識している」。山下社長は電子コミックの課題と対策をこう話す。
めちゃコミックでは無料会員登録で漫画連載が毎日無料で読める「毎日無料連載」で集客を強化しつつ、人工知能(AI)活用によるデータ分析でレコメンド(推奨)精度の向上を図る。
2009年からオリジナル作品の制作に着手。16年からAI活用によるデータ分析を始めた。山下社長は「めちゃコミックでのデータを基に、どういった作品が流行りそうか、どの漫画家を起用するかといったノウハウにたけたパートナーと協業し、ヒット率を高めている」と明かす。
企画段階からデータ分析を活用した「RISKY」はテレビドラマ化され、25日に放送が始まる。「青島くんはいじわる」は単行本換算で100万部を超える大ヒット作となった。オリジナル作品のメリットは「電子コミックサイトとしての差別化が図れる。1話無料といったサービスもやりやすい」(山下社長)。
海外展開も
知的財産の面でもオリジナル作品を抱えることで、ヒット作のアニメやドラマ化、海外展開などを主体的に進められる。めちゃコミックのオリジナル作品は累計1000タイトルを超えた。「漫画家にとっては作品をより多くの人に読んでもらいたいだろう。そこで一定期間を経過すると、競合する電子コミックサービスにもオリジナルの作品を配信している」(同)という。
出版社との連携にも力を入れる。コミック雑誌で連載がスタートした作品の最新話をめちゃコミックで独占先行配信し、読者の囲い込みにつなげる。出版社にとっては独占先行配信中にインターネットで読者がどのような反応を起こしているかを分析し、ストーリー展開を変えることも可能だ。
海外展開も進める。アムタスはパピレスと共同で、日本の電子コミックを海外市場に売り込むため、取り次ぎ販売や翻訳支援などを手がけるアルド・エージェンシー・グローバル(東京都千代田区)を19年に設立した。日本の電子コミックは30万冊程度とされる一方、多言語化されているのは約2万冊にとどまるとみられる。翻訳版がないから海賊版が横行するなどの問題があった。
そこで出版社が海外でコンテンツ配信時に必要な業務を代行することで、著作権保護と海外の読者が日本のコミックを楽しめる体制を構築していく。