日本電産グループ入りの三菱重工工作機械、シナジー効果はどうなる?

若林謙一社長インタビュー

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三菱重工工作機械の古い旋盤(同社公式フェイスブックページ)

三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)は5月をめどに日本電産の傘下に入る。ギア内製化を目指す日本電産グループとなることで、主力の歯車機械事業は安定受注が期待される。一方、業界では特定ユーザーの色が付くことへの影響や、歯車機械以外の事業の行方などを懸念する声もある。三菱重工工機の若林謙一社長に聞いた。

―今回の株式譲渡に対する社員の反応は。

「発表当日、私から社員に経緯や今後の方針を直接説明した。当初は戸惑いもあったが、今は落ち着いてきており、将来に期待する声が出始めている」

―日本電産グループ入りでどういったシナジーを期待しますか。

「日本電産の購買力やグローバルの生産、販売体制を活用でき、当社の競争力強化につなげられる。より迅速で、きめ細かいサービスも提供できる。既に日本電産側と経営管理方法などを話し合っている。彼らから感じるのは、業務に対するスピード感の早さだ。株式譲渡完了と同時に、当社の製品力強化のためのプロジェクトが一気に動きだすだろう」

―三菱グループでなくなることの影響は。

「三菱のブランド力は重要な要素ではあるが、それ(三菱ブランド消失)を覆す製品力を付けることが顧客にとっても大きなメリットとなる。ブランド力だけで機械は売れず、価格や品質、サポート面で顧客から評価をいただくことが重要だ」

―大型機械や金属積層造形機など、歯車機械以外の方向性は。

「株式譲渡完了後もすべての事業を継続していく。日本電産が2030年度に売上高10兆円を目指す中で当然、当社の全事業にも成長が求められる」

―工作機械の受注環境は厳しい状況です。

「歯車機械や大型機械の事業は思った通りに進んでいない。自動車の生産自体は増えているが、設備投資まで回っていないのが現状だ。18年にユーザーの生産拡大と生産工程の変更・追加に対応した設備需要が重なった。今は従来設備で対応できているのだろう」

―デジタル変革(DX)の取り組みは。

「顧客向けポータルサイトなどを7月までに開設し、機械の購入や加工、保守に関する支援機能を提供する。顧客から送られる映像を見ながら当社がサポートするサービスなども試行している」


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【記者の目/企業文化、どう融合させるか】

売上高に占める海外比率はここ数年3割程度にとどまっており、海外展開が将来の成長への課題だ。その点で日本電産グループの持つリソースは大きな強み。シナジー最大化に向けて、同社の企業文化やビジネス慣習にどう融合させていけるかが、成長軌道への転換に向けた焦点の一つとなるだろう。(編集委員・土井俊)

日刊工業新聞2020年3月15日

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三菱重工

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