「本気でやれば人数を半分に減らせる」。富士ゼロックスがIoTで印刷全工程の一元管理を支援
印刷工場のデジタル変革(DX)を後押し―。富士ゼロックスはIoT(モノのインターネット)で印刷の全工程を一元管理するソフトウエア「プロダクションコックピット3.0」を2020年9月から国内で販売している。オフセット・デジタル印刷の統合管理ができるほか、印刷機や加工機など各機器のスケジューリングの自動化、稼働実績の可視化が可能。顧客別受注件数の内訳や各機器の稼働状況などをグラフで表示できる。
「(工場の規模などによって異なるが)本気でやれば、人数を半分くらいまで減らせる」。鈴木孝義システムエンジニアリング部長は、ソフト導入効果についてこう話す。印刷業界では人手で行われている作業が多い。人手不足が深刻化する中、ソフトを用いた工程管理は生産性向上や業務改善につながる。
印刷機メーカー各社は工程管理ソフトの提供を進めているが、中でもプロダクションコックピット3.0は、「富士ゼロックス製以外の印刷機にも導入可能なのが特徴」(鈴木部長)だ。異なるメーカーの印刷機を組み合わせてラインを構築している場合や、複数の印刷工場を運営している場合でも円滑に工程管理を行える。
こうした機器カバー力の高さゆえに、同ソフトは対象となる顧客も幅広い。従来、商業印刷機向けソフトの販売対象はデジタル印刷機を導入する顧客を主とし、印刷機とセットで販売してきた。しかし同ソフトの場合は単体の提供も可能だ。さらに同社製以外の印刷機を使用している顧客や、オフセット印刷をメーンに手がけている顧客などにも訴求できる。鈴木部長は「DXを切り口に提案できる」と強調する。
コロナ禍で印刷の需要は落ち込んでいるものの、「商談は増えてきている」(同)。同社はDXによる生産性向上や、リモートでの印刷稼働状況の可視化といったニーズを確実に取り込んでいく。販売開始から5年間で100本の導入を目指す。(張谷京子)