“体内のがん”を再現する「組織模倣型細胞培養システム」ができた!新薬開発に期待かかる

滋賀医科大などが開発

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写真はイメージ

滋賀医科大学医学・看護学教育センターの向所(むかいしょ)賢一教授は、生体内での状態に近い3次元構造や機能を持つがん細胞を培養できる「組織模倣型細胞培養システム」を開発した。日本バイリーン(東京都中央区、川村智社長、03・4546・1111)が開発した、高純度シリカ極細繊維の不織布シート「セルベッド」を足場とし、従来の2次元培養と同条件で培養できる。がんの病態解明や創薬研究の発展につながると期待される。

今回の組織模倣型細胞培養システムでは、がんが正常組織を破壊しつつ広がる「浸潤」を再現できる。がんの新薬開発は、2次元培養細胞で実験しても、実用化できるのは5%以下という。実験と生体内との代謝の違いの影響が大きいとみられるからだ。

同システムで3次元培養したがん細胞は、2次元培養に比べ生体内と近い代謝物を出すという。

活用するセルベッドは、平均直径1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のシリカ繊維を厚さ約200マイクロメートルのシート状に重ねたもの。生体内の細胞線維による「疎性結合組織」に似た構造で、平均約7マイクロ―8マイクロメートルの隙間を多数持ち、がん細胞が自由に増殖できる環境。

栄養や温度、二酸化炭素濃度などの条件は従来の2次元培養と同じで、あらゆるがん腫に対応する。コラーゲンなどによる3次元培養に比べ大量生産しやすく回収率も高い。屈折率を調整した封入剤を塗ると透明になり、顕微鏡で観察しやすい。

日刊工業新聞2021年3月5日

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