「使いやすさに自信」。医療従事者を守る陰圧製品、興研が東邦大と開発

  • 0
  • 0
興研の陰圧フードは患者の飛沫が漏れにくい(興研提供)

マスク技術で医療従事者守る

興研は新型コロナウイルス感染症の治療で最前線に立つ医療従事者を守る新製品を相次いで投入している。この一環で東邦大医学部微生物・感染症学講座や同麻酔科学講座などと共同開発し、2020年12月に発売した陰圧製品について開発担当の鈴木剛人環境エンジニアリングディビジョンマネージャーに開発の経緯や強みを聞いた。(渋谷拓海)

―病原体検査用の陰圧ボックスや、気管の挿抜に使う陰圧フードを開発しました。

「価格が数百万円の安全キャビネットの代替製品を提案しようと考えた。送風機には主力の防塵マスクと同等性能で新型コロナウイルスを捕捉できるフィルターを搭載した。折り畳み収納できる段ボールと組み合わせることで使い捨て利用が可能となった。段ボールで医療従事者を“プロテクト”するため製品名を『ダンテクト』と名付けた」

―多くの医療機関が導入してこそ製品として意味があります。

「20年8月ごろから東邦大医学部の先生方の監修を受け、現場で使いやすい設計を目指した。気管の挿抜用に設計した陰圧フード『DANTECT for Ti』は新型コロナ感染症の患者を診てきた麻酔科医らの声を細かく反映。患者の様子を確認しつつ処置しやすくした一方で、飛沫(ひまつ)が漏れにくい構造にした。PCR検査にも使える陰圧ボックス『同Pt』も細かな修正を何度も重ねており、使いやすさに自信を持っている。両製品合計で360を超える病院に納入した」

―順調に導入が進んでいますね。

「診療スペースが比較的狭いクリニックへの納入が多いと思っていたが、総合病院からも引き合いが多く入っている。安全キャビネットを持っていても不足していたり、離れた場所にあるため使い勝手が悪かったりするようだ。新製品は簡単に運べる代替品として人気があり、口コミで広がっている」

―どういう点が強みだと考えますか。

「段ボール部分は模倣しやすいかもしれないが、清浄な空気を高レベルで保持できる製品を数万円で提供できるのは強みだ。これは当社が産業用防塵マスクなどを主力とし、送風機の高性能フィルターを月産数万個生産できるからこそだ」

興研環境エンジニアリングディビジョンマネージャー・鈴木剛人氏
【チェックポイント/現場の声聞き、技術力発揮】

興研は産業用マスクのトップメーカーとして「マスクの外側もきれいに」をテーマに、開放型クリーンシステム「KOACH」シリーズを展開する。この技術を活用し、診察にあたる医師を覆って保護する陽圧ブース「Stand KOACH Mz」を20年6月に発売した。しかし今回は「1人を守るだけではダメだ」(鈴木マネージャー)と考え、防塵マスクの技術を応用して開発した。現場の声を聞きながら技術力で医療従事者を守る。

日刊工業新聞2021年3月2日

関連する記事はこちら

特集