感度は100倍!塩野義製薬が下水の新型コロナウイルス検出で新技術

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北大の北島助教らと共同で、下水中の新型コロナウイルスを高感度かつ自動的に検出できる技術を開発した

塩野義製薬は北海道大学の北島正章助教らと共同で、下水中の新型コロナウイルスを高感度かつ自動的に検出できる技術を開発した。実験室レベルで確認した感度は従来比約100倍にあたる、100万人中1人の感染者を検出可能という。また自動化機器により、従来人手に頼っていた検体の解析作業を約10倍効率化できる。今後自治体と連携し、社会実装を進める。

新型コロナウイルス検出について、固形物に付着して検出されやすい特性を見いだした。通常は下水から固形物を除去することが多いという。また濃縮液から高感度にウイルスを抽出できる技術を採用した。

またロボットベンチャーと共同で、ウイルスを自動的に検出できるシステムを開発した。これまでは人手で採集した検体を研究室に送付し、解析していた。今回、ウイルスの濃縮から検出まで一連の作業を自動化した。24時間稼働できるため、高頻度での検体採集・解析が可能になる。

下水中のウイルス検出状況に応じ、都市での感染実態の把握や、感染拡大の予測、流行対策に活用できると期待される。順次、自治体や自動化システムに強みを持つ企業などと連携しながら検出時間の短縮やコスト低減を目指す。

塩野義製薬のデジタルインテリジェンス部が中心となり、北島助教との共同研究を推進する

北島助教は下水からウイルスを検出し、そのデータをもとに感染状況の把握に役立てる疫学研究を行っている。今回、新型コロナウイルスの検出にも技術を適用し、感染症治療薬やワクチン開発を注力領域に据える塩野義製薬と連携して研究成果の事業化につなげる。塩野義製薬はデジタル技術の活用により社内の業務効率化や新規事業の創出に挑む「デジタルインテリジェンス部」が主体となり、北島助教との共同研究を推進している。

今後は社会実装を通じ、下水からのウイルス検出データにもとづいて感染状況を地図上に色分け表示したり、下水処理場から自動的かつリアルタイムでデータを取得し、感染予測情報を提供するといったシステムの構築を狙う。その上で、自治体をはじめセンシング技術やITにたけた事業者との協力が欠かせない。北島助教は「天気予報のように感染者数の推移を知ることができれば、流行対策にも応用できる」と意義を述べる。

塩野義製薬以外にも、下水中の新型コロナウイルス検出技術は産学連携が行われている。島津製作所子会社の島津テクノリサーチ(京都市)は、島津製作所製の新型コロナウイルス検出試薬キットを用い、下水に含まれる新型コロナウイルスのPCR検査の受託事業を始めた。

下水疫学を研究する北島助教

日刊工業新聞2021年2月26日を加筆

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