官公庁案件に特化した建築業者の倒産劇、信用が剥げ落ちた「関係会社」の存在

創真、実質的親会社の破産で資金流出

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一見、安定した売り上げを誇っていたが…(写真はイメージ)

官公庁案件に特化した建築工事を手がけていた創真は、2020年12月21日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。創真は1997年6月に設立。主体となる東京都住宅局発注の改築・新築工事に加え、学校の耐震補強工事や防球ネット設置工事、都営住宅の外構工事を含む土木工事も請け負っていた。元請け受注のほか、奥井建設(東京都足立区、以下奥井)の協力会社として共同企業体(JV)や下請け案件を手がけることも多く、20年6月期に年売上高約21億9700万円を計上していた。

一見、安定した売り上げを誇る創真だったが、奥井の実質的な支配下にあった。通帳などは奥井で管理されている状態で、奥井に対し決算書には記載のない貸し付けが行われていた。

こうしたなか、奥井が20年3月23日に破産手続き開始決定(負債約27億円)を受けたことで不良債権が発生し、実質的なグループ企業と見なされたことで対外信用が低下。外注先や仕入れ先から支払いサイトの短縮を要請されるなど資金繰りは悪化していった。

その後、資金調達などに尽力したが奏功せず、スポンサーによる再生を模索。取引金融機関には中小企業再生支援協議会の協力の下で返済猶予を要請するほか、スポンサー選定を継続していった。

新規受注の獲得や支出の削減に努めたが、創真への入金の遅延も発生し資金繰りは悪化の一途をたどった。その後、スポンサー候補者から意向表明書の提出を受けるなど事態は好転するかにみえたが、交渉がまとまらず、20年12月25日に債務の支払いができない状況となり、民事再生法の適用申請へ至った。

創真の倒産原因は関係会社との関係性だろう。貸付金名目での資金流出があったことに加え、関係会社の破産で工事費用の二重払いが発生したこと、そして対外的な信用力が大幅に低下したことが創真の資金繰りを大幅に悪化させ、倒産に至る最大の要因となった。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2021年2月23日

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