設立以来、売り上げを伸ばし続けた補修工事業者。安定の官公庁向けを増やしたのになぜ倒産?

アイマルにみる「工事積算」の落とし穴

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アイマルは、2019年12月25日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。同社は09年に設立。アパートやマンションなどのほか、浄水所など公共施設の改修および修繕工事に伴う炭素素材やコンクリートなどを用いた構造物の補強・補修工事を主力に外構工事なども手がけていた。設立当時はゼネコン関連の下請け受注が主体だったが、その後、収益性向上のために官公庁案件を主体とした事業展開にシフトし、安定した受注を確保。18年7月期には年売上高約7億3200万円を計上していた。

売り上げ拡大に伴い人手不足も懸念されていた。だが従業員の採用を最重要課題とし、インターネット広告などを活用することで解消。引き続き首都圏の再開発需要などから受注は好調だった。しかし、従前から元請け工事で採算性の悪い案件が多く、一部で受注の際にあらかじめ行っていた工事積算において実際の工事単価と数量との間で齟齬(そご)も発生していた。

19年7月期に入り、その傾向がさらに顕著となり、年売上高は約8億9100万円と増加する一方で赤字工事も増加。さらに追加工事発生による立て替え払いや下請け業者に対する支払いが想定外に発生した影響により資金繰りも悪化していった。そうした中、改善のため経費削減に努めたが、19年9月には取引先に対して支払いの延期を要請。また金融機関からは新たな借り入れを行うなどして破綻を回避していた。

しかし、その後も工事の遅延や下請け業者に支払う工事費用が想定を大幅に上回る案件が発生し、12月25日に予定していた支払いを行えない見込みとなったため今回の措置となった。

設立以来、売り上げを伸ばし続けた同社。一方で採算性が悪く利益が僅少な案件も多く、手元資金がわずかな中、追加費用の発生などが多くキャッシュアウトが重なったことで周囲も驚く突然の破綻となった。

(取材=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2020年2月4日

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