コロナ禍で高まる内食需要や健康志向。食用油やチョコレート、ヨーグルトが好調なワケ

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オリーブオイルやごま油などが市場けん引

イメージ一新、市場伸長

高齢化や人口減少などで日本の胃袋は年々小さくなる一方だ。だが、新型コロナウイルス感染拡大による内食需要の拡大や健康志向の高まりを背景に、食用油やチョコレートなど、市場が拡大している食品がある。こうした食品は、従来、健康を阻害する“悪者”というイメージが強かった。だが、機能性をうまくアピールし、商品戦略を大きく転換したことで、その食品自体のイメージが変わり、市場全体の基調にまで変化を与えている。(高屋優理)

食用油、拡大基調 継続摂取で脂肪燃焼、SNS 女性の人気喚起

食用油市場は2018、19年度と拡大が続いている。食用油のような食材の市場は、ヒット商品も出にくく、胃袋の数と比例する飽和市場の代表的な食品だ。その上、食用油はカロリーの高さから、肥満の原因の一つとされ、ダイエット志向の高まりの中で敬遠される存在となっていた。

市場が拡大基調に変化したのは15年度。それまでサラダ油がほとんどを占めていた中、オリーブオイルやごま油などサラダ油以外の食用油を調理に使うことが増えたことがある。価格競争が激しいサラダ油に比べ、オリーブオイルやごま油は高価格なため、購入価格でも市場が伸びた。

さらに拡大基調に拍車をかけたのが、17年に日清オイリオが発売したMCTオイルだ。MCTオイルはココナツなどに含まれる天然成分「中鎖脂肪酸」を取り出したもので、無色透明、無味無臭。体に直接取り込まれ、素早くエネルギーになる特性があるため、1970年代から高齢者向け栄養補助食品として展開していた。

商品戦略を大きく変えたのは17年。中鎖脂肪酸の継続摂取が脂肪を燃焼しやすい体質に変化させる効果があることに着目し、コンセプトを一新。「会員制交流サイト(SNS)などで情報発信し、需要を喚起した」(長門石亮日清オイリオ商品戦略部ウェルネス食品課長)ことで、美容意識の高い女性を中心に火が付いた。

MCTオイルのヒットもあり、アマニ油やえごま油など調理油ではなく、食品や料理にかけるオイルが相次いで商品化され、市場が活性化。かけるオイルの市場規模は20年4―9月で約210億円と推定され、14年度4―9月と比べて約2倍となり年間400億円市場に達する見通しだ。

チョコレート、売上高最高 カカオ、生活習慣病予防 高齢者ターゲット

チョコの市場は、明治の「チョコレート効果」が火付け役となった「高カカオ」ブームで、小売金額が11―17年まで7年連続で過去最高を更新。18年はブームが一巡し、新商品の発売などが減って前年を割ったが、19年は再び、5630億円と過去最高となった。明治では20年も過去最高の売上高を見込んでいる。

チョコ市場はバレンタインの需要が下支えし、義理チョコの需要などが減少すると、00年代は4000億円前後で増減を繰り返していた。

飽和状態となっていたチョコ市場の“ゲームチェンジャー”となったのが、明治が1998年に発売したチョコレート効果だ。

カカオ効果で消費を訴求(明治の「チョコレート効果」の大袋)

カカオ成分は72―95%で、一般的なチョコの30―40%に比べ、非常に高いのが特徴。カカオの成分を高めることでポリフェノールが増し、生活習慣病などの予防効果があるとされている。この効果をアピールし、高齢者層を中心に売り上げを伸ばした。

チョコレート効果の発売当初は、高カカオならではの苦さが受け入れられず苦戦した。だが、カカオポリフェノールの効果がメディアなどで取り上げられると徐々に売り上げが伸長。15年度は70億円の売上高だったが、19年度は約3倍の215億円に伸びている。

森永製菓やロッテなど、他社も追随して高カカオ商品を発売し、市場が活性化した。チョコもカロリーの高さや糖分などから、虫歯などの原因とされ、不健康の代表的な食品だった。

だが、明治がポリフェノールの機能に着目し、これまでのイメージを逆手に取るコンセプトの商品を出したことで、飽和状態から脱した。

ヨーグルト、反転攻勢 免疫力―手軽に向上 習慣的に食べる需要創出

ヨーグルト市場はここ10年は拡大基調だった。だが、17―19年度は頭打ちとなっていた。それが20年度は新型コロナの感染が拡大したことで、健康意識が向上。免疫力に注目が集まったことで再び市場が回復する見通しだ。

ヨーグルトは栄養価の高さでもともと健康的なイメージがあった。また、乳酸菌が胃腸の働きを改善するため、美容や便通の効果をアピールした商品はすでにあった。そのヨーグルトの機能が進化したきっかけとなったのは、09年に明治が発売した「プロビオヨーグルトR―1」だ。

R―1は免疫力の向上などに効果があることをアピールしたことで、従来の朝食やおやつ以外に、習慣的に食べる需要を創出。さらにドリンクタイプを展開し、飲んで手軽に取り入れられるようにし、売り上げを拡大。整腸作用だけでなく、免疫に着目した商品が増え、ヨーグルト市場全体が拡大基調に転じた。

20年度は新型コロナの感染拡大があり、R―1も売り上げを伸ばす中、小岩井乳業はキリンホールディングスの独自素材「プラズマ乳酸菌」を使用した「iMUSE(イミューズ)」ブランドのヨーグルトを市場投入した。イミューズブランドは20年8月に免疫機能で機能性表示食品の届け出を受理され、20年11月にリニューアルした。

免疫力アップに注目が集まる。小岩井乳業が発売した「イミューズ生乳ヨーグルト」と「同ドリンクヨーグルト」

ヨーグルト市場で特徴的なのは、整腸作用や免疫力向上だけでなく、さまざまな効果をうたう商品が展開されていることだ。森永乳業の「トリプルヨーグルト」は、カゼイン由来ACE阻害ペプチド「トリペプチドMKP」を配合し、血圧を下げ、血糖値、中性脂肪の上昇を抑える効果があるとしている。また、雪印メグミルクの「乳酸菌ヘルベヨーグルト ドリンクタイプ」は、「乳酸菌ヘルベ」が目や鼻の不快感を緩和する効果があるとしている。

乳酸菌は、乳製品や菓子に限らず、発酵食品を製造するメーカーの多くが研究を進めており、独自素材も持っている。こうした独自素材の商品化が進むことで、さらに市場が拡大する可能性を秘める。

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