売り上げの9割が海外、岡山の園芸用機械メーカーが国内生産にこだわる狙い

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カーツが製造していた1943年製(右)と53年製のエンジン

カーツ(岡山市東区、勝矢雅一社長)は、売り上げの9割が海外向けと中小製造業では出色の存在だ。一方で、芝刈り機や刈払機などの生産は国内にこだわり続ける。まもなく創業100年。開発と製造、生産技術の三位一体で日本から激しさを増すグローバル競争に臨む。

同社は1922年(大11)に岡山市で創業した。30年に発動機(エンジン)生産を開始。当時の岡山県は大規模な干拓工事により農地が拡大し、水利や運搬などに幅広くエンジンが使われ、県内で約70社が生産していた。

転機は50年代後半から60年代前半の昭和30年代に訪れる。国内の大手製造業がエンジン生産を開始、中小企業は淘汰(とうた)された。同社も知的財産の問題などからエンジン生産から撤退せざるを得なくなる。そこで新事業として芝刈り機に着目。エンジンを外部から調達して生産を始めた。

当初は国内販売を試みたが、市場がなく海外に目を向けて西ドイツ(現ドイツ)で販売する。「品質がよければ欧州の人は買ってくれた」(勝矢社長)。刈払機など園芸用機械の製品を拡充し、売り上げを伸ばしていった。

だが、85年のプラザ合意を機に円高が進行。勝矢社長が入社した年の87年6月期決算は創業以来初の赤字に転落した。海外で値上げするしか生き残りの道はない。欧州では品質の評価が高く値上げが浸透したものの、東南アジアでは「市場を失った」(同)。

円高で製造業の海外移転が相次いだが、同社は国内に残った。駆動部品の内製化もメーカーとしてのこだわりだ。今後は「脱炭素」が大きなテーマになる。カーボンフリーのエンジン開発や、燃料電池の開発再開など新技術で対応していく方針だ。

【企業メモ】カーツの販売先のうち欧州は4割、米国が3割を占める。欧州には園芸用機械で世界首位メーカーがあるなど競争は激しい。だが、同社はベーシックタイプから最上位のプロ仕様までの製品をそろえ、顧客を引き寄せている。

日刊工業新聞2020年2月22日

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