剣道3段で「行内屈指のアジア通」。みずほ銀の新頭取、加藤氏はどんな人?
みずほ銀行は、加藤勝彦常務執行役員(55)が頭取に昇格する人事を決めた。藤原弘治頭取(59)は会長に就任する。トップ交代の目安となる4年が過ぎ、人事を刷新する。また、みずほ証券は浜本吉郎常務執行役員(54)が社長に、飯田浩一社長(58)はみずほリサーチ&テクノロジーズの会長になる。いずれも4月1日付。
コロナ禍を受け、資金繰りや事業構造の問題を突きつけられた事業者は多い。銀行には自行の健全性を保ちつつ、最大限の事業者支援が求められる。
さらに政府が後押しするフィンテック(金融とITの融合)が台頭しつつある中、次世代金融サービスの拡充が急務だ。会見で加藤氏は、「まずはコロナ禍対応にしっかりと向き合う」と、最優先で顧客支援に取り組む。
一方、みずほ証券次期社長の浜本氏は「三方良しを目指すことが仲介者としてのあるべき姿だ」とし、丸24年にわたる証券業務で培った現場経験を経営に生かす。
収益力強化に向け、銀行・証券、国内・海外といった業務の壁を越え、多様な収益源を確保する。
【略歴】加藤勝彦氏 88年(昭63)慶大商卒、同年富士銀行(現みずほ銀行)入行。13年ハノイ支店長、18年執行役員ソウル支店長、20年常務執行役員。愛知県出身。
【略歴】浜本吉郎氏(はまもと・よしろう)90年(平2)慶大経済卒、同年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。19年みずほ証券執行役員、20年みずほフィナンシャルグループ常務執行役員兼みずほ証券常務執行役員。神奈川県出身。
素顔/みずほ銀行頭取に就任する加藤勝彦(かとう・まさひこ)氏
会長に就く藤原弘治頭取は米国駐在中に経営学修士(MBA)を取得した努力の人で人の良さで知られる。経営のバトンを引き継ぐ加藤氏も愛嬌(あいきょう)のある見た目の通りの物腰の柔らかさ。歴代頭取で最も長い23年の現場経験で培った。「お客さまと長年じかに接してきた経験を生かし、さらに信頼されるみずほにしたい」と、顧客視点の経営を掲げる。
「みずほ屈指のアジア通」(坂井辰史みずほフィナンシャルグループ社長)でもある。足かけ15年でシンガポール、香港、ベトナム、韓国の4カ国を経験。日本企業にとってアジアは成長戦略の柱となる市場とみて、「みずほならではのエッジを効かせながら、海外進出・展開をサポートしたい」と意気込む。
座右の銘の一期一会は、「一瞬を大切にしてできる限りのことをする」と受け止める。名古屋の東海高校では剣道部に所属、3段の腕前だ。(編集委員・六笠友和)