回復に向かう工機業界、中国を起点に世界市場を開拓できるか

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2018年の中国国際工作機械見本市の様子

工作機械業界が回復基調にある。主要各社の首脳によると2020年初からの受注は5月を底に、7―8月から緩やかではあるが上向いてきた。一部の企業では、10月は前年同月と同等もしくは上回っている。いずれも中国で、半導体や自動車向け生産設備の投資意欲が戻っていることが大きい。ただ、活況だった18年比で見ると受注水準は低く、新型コロナウイルス感染症の再拡大なども懸念され、21年も緩やかな回復にとどまりそうだ。

「顧客が動き始めた感触はある」(飯村幸生日本工作機械工業会会長=芝浦機械会長)。世界市場全体で需要回復の大きなうねりがあるとまでは言えないが、各社は引き合いや問い合わせを通じて、回復に向かいつつあるとの認識を持つ。

先導役は中国だ。第5世代通信(5G)関連の投資を中心に受注が戻ってきた。「商用車向けの受注が出ている。電子機器製造受託サービス(EMS)からも話が来るようになった」(井上真一牧野フライス製作所社長)など中国市場は好転したとの判断が大勢だ。

ただ中国市場のポテンシャルを考えると本格的な回復には至っておらず、現在の好調さがどこまで力強く、持続的な勢いになるかを注視している。さらに米中貿易摩擦の行方次第では、中国の需要縮小の恐れもある。

「中国の好調で自動車関連を中心に今後は欧州も盛り上がるはず」(星真ブラザー工業執行役員)と、中国の回復は他地域へも波及しそうだ。また中国からのIT機器の生産移管や2輪車・4輪車の需要増加を背景に、インドでも販売増の動きが出ている。

今後を左右するのは新型コロナ再拡大と米中貿易摩擦の行方だ。特に新型コロナはワクチン普及など根本的な対策が打たれない限り景気は一進一退を繰り返すだろう。そうした中、「一段高い生産性の新工場を一気に構築する技術力が求められており、日本メーカーの強みが生かせる」(家城淳オークマ社長)と、高精度や自動化といった既存の得意技術をインテグレーションして提供することが需要開拓のカギになる。


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日刊工業新聞2020年11月24日

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