高密度で複雑な造形を実現、山陽特殊製鋼の銅合金粉末がスゴい!

広がる金属3Dプリンター市場にラインアップ拡大で訴求

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金属3Dプリンター向け銅合金粉末で作った造形品(山陽特殊製鋼提供)

レーザー吸収向上、高密度に

山陽特殊製鋼は2020年にレーザービーム式金属3Dプリンター向け銅合金粉末を発売した。銅合金で高密度かつ複雑な3D造形が実現できる。純銅とほぼ同等の高導電性タイプと、純銅の1・5倍以上の高強度を持つ高密度・高強度タイプの2種類を用意。金属3Dプリンター市場が広がる中、金属粉末のラインアップ拡大で競争力を高める。

銅合金は熱交換器やヒートシンク、高周波加熱コイルといった熱伝導性や導電性が必要な部品で使われる。銅合金粉末ならば金属3Dプリンターでコイル状といった複雑な造形品を簡単に作れると考え、開発をはじめた。

ただ、銅は他の金属に比べレーザー吸収率が低く、照射した熱エネルギーが材料に吸収しづらい。熱伝導性も高く、レーザー照射の熱エネルギーがすぐに拡散してしまう。溶融に必要な熱を材料に与えられず、高密度造形は不向きだった。

そこで溶融した金属に高圧ガスを吹き付けて粉末を作る際、金属中へ合金元素を多く含ませる方法(強制固溶)を採用した。合金元素が多量に固溶することでレーザー吸収率が大きく向上。造形後の熱処理で過飽和に固溶した合金元素を取り出すことにより純銅に近いレベルに導電性と熱伝導性が回復し、さらに強度も付加できた。

固溶に最適な合金元素は開発によりジルコニウムと突き詰めた。ただ、含有比率によって伝導性や引っ張り強度が変わるため、用途に応じて2種類を発売した。価格は個別見積もり。10社以上に販売し、購入企業で試作に用いられている。

山陽特殊製鋼の金属3Dプリンター向け金属粉末は、鉄・ニッケル・コバルトを含めて4素材。需要増を見込み、17年に兵庫県姫路市の工場で金属粉末製造装置を増設した。銅合金粉末の売り上げ目標は非公表だが、柳本勝取締役常務執行役員は「吸収率や密度が上がらない理由で、3D造形に二の足を踏んでいた顧客へアピールしていく」と意気込む。(姫路・村上授)


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日刊工業新聞2020年2月9日

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