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EV車の使用済み電池を再利用!伊藤忠が取り組む好循環サイクル

2020年12月、伊藤忠商事(伊藤忠)が中国の電気自動車(EV)大手のBYDと組み、使用済みの車載電池の再利用に取り組むとの報道があった。世界トップのEV市場である中国で、バスやタクシーなどに搭載された電池を回収し、性能検査を済ませた上で伊藤忠が買い取り、大型の蓄電池にして販売するという。

車載用電池は、安全性などの理由からフル充電時のバッテリー容量が8割以下になると、取り外して交換することが一般的だ。ただ車載用として使えなくても、蓄電池など非車載用途での利用は十分可能。そのため、車載電池がどの程度劣化しているかを評価することは非常に重要になってくる。

伊藤忠はこの報道の約1年前の19年10月、中国の車載用電池のリユース、リサイクル事業を手がけるスタートアップの深圳パンドパワーに出資し、この技術をおさえている。深圳パンドパワーは車載用に使用された電池を回収し、診断、グレーディング、再構成する独自の要素技術を有しているという。

劣化した車載電池をグレーディングする技術は、蓄電池としてリユースするのに役立つだけでなく、EVの中古車市場でも有効な技術だ。通常、自動車の新車販売は健全な中古車市場があってはじめて、下取りによる買い替え需要が発生し、販売が伸びる。

これまでは国内のEV販売が少ないこともあり、EVの中古車市場が立ち上がっているとはいえず、そのため、車載電池のリユース・リサイクルに注力する企業は少なかった。今後、国内のEV販売を伸ばすためにも、EV中古車市場で電池の劣化具合を判断し、残存価値を見極められるグレーディング技術は重要だ。

政府が掲げる50年の脱炭素社会実現に向けた「グリーン成長戦略」で再生可能エネルギーの利用が増えると、蓄電池ニーズのさらなる拡大が見込まれる。

こうした中、国内ではMIRAI―LABO(東京都八王子市)が、劣化したEVの車載電池を診断し、太陽光パネルと組み合わせ、福島県で自律型街路灯に転用する取り組みを始めた。同社は、電池を制御するバッテリーマネジメントシステム(BMS)の技術も持っており、今後EVの車載電池のグレーディングも行う方針だ。

国内でも電池のグレーディング技術を持つ会社が出てくることで、日本国内のEV販売が拡大し、車載電池の好循環サイクルができる可能性がある。今後の展開に期待したい。

◇SMBC日興証券 第二公開引受部IPOアナリスト課 坂本博信

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