ダイセルが火薬技術応用の車載向け電流遮断器

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電流遮断器「パイロヒューズ」(右と中央)とイニシエーター(3つの小さな製品)

乗員の感電リスク回避

ダイセルは火薬技術を用いた車載向け電流遮断器の展開を加速する。自動車の電動化が進む中、バッテリーの過充電による火災や、交通事故の際に乗員が感電するなどのリスクが高まっている。そのため、安全かつ瞬時に高電圧・大電流を遮断する電流遮断器の市場が、今後拡大すると判断した。車載向けを中心に、蓄電システム向けなどで2025年に約50億円の売り上げを目指す。

ダイセルの電流遮断器「パイロヒューズ」は、主力製品である自動車エアバッグ用インフレーター(ガス発生装置)の構成部品である「イニシエーター(点火器)」を応用した製品だ。車両が衝突を判断して流した電流を受け、イニシエーターが着火し、ガスを発生させてエアバッグが膨らむ。

パイロヒューズは異常を検知すると数ミリ秒で作動し、バッテリーを回路から孤立させて二次災害を防ぐ。イニシエーターの燃焼によるガス圧でピストンを押し下げ、電気回路を切断する仕組みだ。車載用のバッテリーは大型化が進み、同社は高電圧・大電流を即時に遮断できる自社製品のニーズが高まるとみている。

同社は海外子会社を含め、イニシエーターを累計で10億個以上製造してきた。こうしたイニシエーターの製造実績を基に、パイロヒューズの信頼性の高さも訴求していく方針だ。これまでに車載用のパイロヒューズは欧州自動車メーカーを中心に搭載の検討が進み、事業化が見えてきたという。

今後は車載向けのほか、太陽光発電などの蓄電システムへの展開も見込んでいる。

また、同社では潜在ニーズを掘り起こすマーケティング活動にも注力する。火薬技術による電流遮断器はインフレーター技術を持った企業が競合するが、現在は3社程度にとどまる。そこで同社は競合相手が少ない間に車載用途でパイロヒューズの実績を積んで主導権を握り、次の展開に備えたい考えだ。(大阪・友広志保)

日刊工業新聞2021年1月22日

キーワード
電流遮断器 ダイセル EV

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