培養肉ビジネスに切り込む三菱商事、海外スタートアップとの連携着々
三菱商事は、食の分野で先端技術を活用して課題解決につなげる「フードテック」関連のスタートアップとの連携を推進する。培養肉分野で、このほどイスラエル企業と覚書(MOU)を結んだほか、オランダ企業に出資した。高い技術力を持ち、商業化に向けて開発を進めている両社との関係を強化していくことで、培養肉市場の将来性を検討していく考えだ。
MOUを結んだイスラエル企業はアレフ・ファームズ。2017年の創業で、テクニオン・イスラエル工科大学発のスタートアップ。牛から採取した非遺伝子操作の細胞からビーフステーキにするために必要な筋肉などの細胞を培養し、成形するプラットフォーム技術「バイオファーム」を有する。同社には穀物メジャーのカーギルなども出資している。
三菱商事は今回、アレフ・ファームズが同技術で製造した培養牛肉を日本の消費者の好みに合わせるために協力していく。バイオ関連技術の提供や流通・販売分野でノウハウを提供していく。
また、オランダの培養肉製造スタートアップであるモサ・ミートに出資した。同社は16年の設立で、創業者は牛の細胞から培養した培養肉ハンバーガーを13年に開発している。今回、モサ・ミート関連の資金調達「シリーズB」ラウンドに三菱商事が出資した。出資金額は非公表。
モサ・ミートは今回の調達で得た資金を活用して、マーストリヒトにある現在のパイロット設備を拡張するほか、量産に対応した生産ラインの開発、人員拡充などにあてる考え。
三菱商事によると、培養肉ビジネスは、研究開発ステージのスタートアップがひしめく黎明(れいめい)期にあり、商業化に至った場合、サステナブル(持続可能)な動物タンパク源となる可能性があるという。あわせて“脱炭素”に資する取り組みとしての注目も高まっており、三菱商事は特徴的な技術を持つ企業と連携していく。