外資系ITベンダーで相次ぐトップ交代、外国人社長から日本人へバトンタッチ
外資系有力ITベンダーの日本法人各社のトップ交代が月内に相次ぐ。年明け早々、先陣を切ったのはレッドハット(東京都渋谷区)。4日付で前日本マイクロソフト常務執行役員の岡玄樹氏がトップに就任した。ヴイエムウェア(東京都港区)は18日付で山中直副社長が社長に昇格、シスコシステムズ(東京都港区)は25日付で中川いち朗副社長が社長に昇格する。3社とも外国人社長からのバトンタッチとなり、トップセールスの強化で新風を吹き込む。(編集委員・斉藤実)
岡氏は日本マイクロソフトでは最高執行責任者(COO)として各事業を統括してきた。それ以前は米リーマン・ブラザーズや米マッキンゼー・アンド・カンパニーで勤務。さらに米シリコンバレーにおいて、ソフトバンク・グループのチーフ・グローバル・ストラテジストの任を担い、中国系フィンテック(金融とITの融合)のアリペイの日本代表だった。
レッドハットはオープンソースの供給業者。オープンソースの「クーべネティス」対応のコンテナ型仮想化基盤「オープンシフト」を軸に、国内パートナー各社との連携強化が今後の焦点。豊富な経験を持つ岡氏の手腕が注目される。
山中氏は2007年にシニア・コーポレート・アカウント・マネージャとしてヴイエムウェア日本法人に入社。要職を歴任し、日本の顧客企業のデジタル変革(DX)の支援に力を注いでいる。
新機軸に据える「ヴイエムウェア・Tanzu(タンズ)」は、クーべネティスとサーバー向け仮想化基盤「ヴイエムウェア」を中核とした統合プラットフォーム。レッドハットのオープンシフトとは競合関係にあり、日本法人同士も新体制で火花を散らす。
中川氏は日本IBM、日本ヒューレット・パッカードと、2大ITベンダーの経営幹部を経て、14年にシスコ日本法人の専務執行役員に就任。現在は副社長として情報通信産業事業を束ねている。
今後の焦点は第5世代通信(5G)商戦。直近では、地域限定の「ローカル5G」と通信事業者が提供する5Gネットワークをエンドツーエンド(両端)で結ぶソリューションのデモや実証実験を行う共創の場として「5Gショーケース」を開設。「医療や車、工場、街づくりなどで、かつてない新しいビジネスやサービスを実現したい」(中川氏)という。
3社のほか、一足先に20年12月には日本オラクルがトップ交代し、前日本IBM取締役専務執行役員の三沢智光氏が社長に就任した。三沢氏にとって日本オラクルは古巣であり、新体制は一気にフルスピードで走りだしそうだ。