「これからはバーチャルが中心となり、以前とは違う景色が見えてくる」日本IBM社長の描く未来

山口明夫氏インタビュー

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日本IBM社長・山口明夫氏(同社公式動画より)

―コロナ禍で加速するデジタル化の波は社会や産業にどんな変化をもたらしますか。

「今まで存在していても活用していなかったテクノロジーを皆が使わざるを得なくなり、デジタル化が一気に前倒しされた。その一つはデジタルツインだ。これまでは物理的な実世界に対して、デジタルで何ができるかだった。これからはバーチャル(仮想)が中心となり、以前とは違う景色が見えてくる。まさに転換点だ。新しいアイデアの創出が期待される」

―企業や行政のIT環境はどう変わるのでしょうか。

「2021年は日本社会のデジタル化に向けた新しい基礎ができる年。これを支えるIT環境は多様なシステムが緊密に連携するオープンでハイブリッド(複合的)な環境へと進化する。ITの世界はダイバーシティー(多様性)がカギとなる」

―具体的には。

「クラウドだって、使えば使うほど、オンプレミス(自社保有)の良さが分かるだろう。行政システムの標準化といっても、すべてをゼロから作るわけではなく、既存システムも良いものはうまく活用すべきだ。連携するためにはインターフェースを整理してつなぎ、全体としてデータがうまく流れればよい」

―米IBMと軸を合わせ、日本でもインフラのマネージドサービス事業を分社します。

「分社化はあり得ると思っていた。国内では『2年くらい先が良い』といった議論があるかもしれないが、世界は進んでいる。日本だけが遅れるわけにはいかない。05年にパソコン事業を売却した時と同じように、時代の変化を先取りした動きと言えよう」

―分社する新会社との関係性は。

「IBMは21年後半に新会社を立ち上げると発表済み。日本も同時だ。新会社は独立した会社となり、我々とは特別なパートナーシップを結ぶ。新会社は先進的な技術を活用してシステムを作り、運用を手がける。もちろん、IBM以外の技術やプラットフォーム(基盤)も採用する」

【記者の目/競合の動きに注目】

分社について、山口明夫社長は可能性を認識していたものの、「こんなに早くなるとは思わなかった」と語る。現在は新会社に移る社員や客先との契約などの調整を急ピッチで進めているとみられる。新会社は国内では数千人規模となる見通し。競合先の国内ITベンダー各社がどう動くのかも注目される。(編集委員・斉藤実)

日刊工業新聞2021年1月11日

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