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昨年の工作機械受注は26%減の9007億円「国内は依然低調。中国頼みの感が強い」

昨年の工作機械受注は26%減の9007億円「国内は依然低調。中国頼みの感が強い」

写真はイメージ(ツガミの長岡工場)

日本工作機械工業会(日工会)が13日発表した2020年の工作機械の年間受注実績(速報値)は、前年比26・8%減の9007億5300万円で2年連続の減少となった。1兆円を下回ったのは10年ぶり。年初からの新型コロナウイルス感染拡大により、設備投資が低迷。受注環境は下期(7―12月)以降持ち直してきたが、上期(1―6月)の落ち込みを補えず、内外需とも2年連続で減少した。

内需は同34・4%減の3233億7600万円で、8年ぶりの4000億円割れ。外需は同21・6%減の5773億7700万円で、リーマン・ショック直後の09年以来11年ぶりに6000億円を割り込んだ。

12月単月は前年同月比8・7%増の979億7500万円で2カ月連続の増加。19年12月以来の900億円超えで20年の単月最高額となった。外需が年度末効果による受注増加などにより、同27・3%増の672億1200万円と2カ月連続で増加。19カ月ぶりの650億円超えとなった。

一方、内需は同17・5%減の307億6300万円で、25カ月連続の減少。12月として8年ぶりの350億円割れで「外需と比べてまだ厳しい状況が続いている」(日工会)。


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工作機械7社、昨年受注31%減 12月は25カ月ぶりプラス

日刊工業新聞社が13日まとめた工作機械主要7社の2020年(暦年)の工作機械受注実績は、前年比31・1%減の2545億500万円となり、2年連続の減少となった。米中貿易摩擦の継続に、年初からの新型コロナウイルス感染拡大の影響が重なり、各地域で設備投資が低迷。ただ年央以降、受注環境は中国を中心に持ち直しており、21年は日本や欧米の需要回復の度合いが注目される。

全社が減少となる中、ツガミは唯一輸出が増加し、総額も微減にとどめた。高いシェアを持つ中国で「自動車を中心にほとんどの業種で受注が伸びた」(ツガミ幹部)ほか、インドも4輪車、2輪車向けに需要が回復しているという。

牧野フライス製作所は、中国が1―3月期を底に受注が回復したのをはじめ、日米欧も「期を追うごとに徐々に戻ってきたが、回復が弱かった」(業務部IR課)ことで、10年ぶりに400億円台に落ち込んだ。

オークマも800億円台で10年ぶりの低水準。「コロナ禍で需要が見通せない中、ウェブ会議や展示会などを活用し、なんとか踏みとどまった印象」(マーケティング室)だ。

21年の見通しは「北米は21年度の設備投資に期待している」(ジェイテクト担当者)など、中国以外の地域を含めておおむね緩やかな回復を見込む声が多い。大手工作機械メーカー首脳は「これまで続いた調整期から今は回復期へ入っている」と現状を捉える。一方、「国内は依然低調で、海外、特に中国頼みの感が強い」(三菱重工工作機械事業戦略推進室)との見方もある。

20年12月単月の受注額は前年同月比7・3%増の271億9500万円となり、単月ベースでは25カ月ぶりの増加に転じた。OKKと三菱重工工作機械(滋賀県栗東市)は輸出が大幅に増加した。三菱重工工機はインドでの4輪車向け歯車工作機械の大口受注が寄与した。

日刊工業新聞2021年1月15日

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