醸造プラントで培った技術力、神鋼環境の「ミドリムシ」がどこまで伸びる?

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子会社のミカレアが手がける機能性表示食品「ミカレアのパラミロン」(神鋼環境ソリューション提供)

営業強化、消費者向け販売拡大

神鋼環境ソリューションは、2017年に微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)を原料とする食品事業に参入した。自社ブランド「神戸ユーグレナ」の名称で、食品メーカーなどにOEM(相手先ブランド)供給しているほか、18年から販売子会社のミカレア(神戸市中央区)を通じ、サプリメントなどの健康食品も手がけている。

ミドリムシはビタミンやミネラルなど50種類以上の栄養素を含む。植物のように光合成で自らエネルギーを得ることに加え、動物と同じく有機物を使ってエネルギーを得る。それゆえに植物と動物の両方の特徴を持つ生物と言われる。

神鋼環境ソリューションは微生物を活用した水の浄化システムを投入するなど、環境浄化に関わる微生物の研究に力を注いできた。12年に大学との共同研究でミドリムシの新規株「ユーグレナグラシリスEOD―1株」を発見した。ミカレアの大谷和由社長は「同株は免疫力の向上や疲労感軽減に役立つとの研究結果を持つミドリムシ特有の食物繊維『パラミロン』を、他の一般的な株に比べて多く含む」と話す。

ミドリムシの大量培養は、屋外の貯水池で光合成させるのが主流だ。一方で気候変動の影響に左右され品質が安定しにくく、また屋外のため不純物混入の可能性もある。

神鋼環境ソリューションは、酒造会社向け醸造プラントなどで培った酵母へのダメージを最小限に抑えながら均一にかき混ぜる技術を活用。完全密閉された無菌状態のプラント内での量産に成功した。これにより不純物の混入を防ぎ、栄養素のバラつきが少ないミドリムシを製造できる。

20年3月にはパラミロンを関与成分とする健康食品として、業界初となる機能性表示食品として消費者庁に届け出た。科学的根拠に基づき「日常生活の身体的疲労感を軽減する」との明文化が可能になった。今後は営業を強化し、消費者向けの販売拡大に結びつけたい考えだ。(神戸・福原潤)

日刊工業新聞2020年1月15日

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