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電機業界「生き残り再編」、ソニーは勝者でパナソニックは正念場

「選択と集中」最終局面
電機業界「生き残り再編」、ソニーは勝者でパナソニックは正念場

パナソニックの津賀一宏社長(左)とソニーの吉田憲一郎社長

電機業界は事業再編の最終局面を迎える。日立製作所東芝が上場子会社中心のグループ再編に着手し、パナソニックは液晶パネルと半導体事業からの撤退を決めた。2010年代は中国経済がけん引役となって自動車やスマートフォン、そしてそれらをつくる工場設備の需要は右肩上がりだった。ただ、米中貿易摩擦の激化した19年に入って風向きが変わり、再編機運が一気に高まった。

「2020年は、組織構造が大きく変化する中で、グローバル化に向けた私たちの変革が始まる年、つまり、次の時代に向けた新しい日立をつくり上げていく年なのだ」。日立製作所の東原敏昭社長は仕事始めの6日に社員へ向けた年頭あいさつでこう記した。

組織構造の大きな変化の例として、東原社長は20年半ばに控えるスイス・ABBの送配電事業買収と、ホンダ系自動車部品メーカー3社との事業統合を挙げた。その一方で19年年末に上場子会社の日立化成を昭和電工へ、医療用画像診断機器事業を富士フイルムへ売却する決断を下した。社会イノベーション事業のグローバルリーダーを目指す上で非中核事業を切り離す選択と集中の手も緩めない。

19年にようやく液晶パネル事業などの撤退を決めたパナソニックは同業他社に比べて事業再編の周回遅れとのそしりを免れない。津賀一宏社長が6日の年頭あいさつで「まず、『低収益体質からの脱却』という課題にしっかりと向き合わなければならない」と呼びかけたのが何よりの証拠だ。しかし依然として、投資負担の重い自動車用リチウムイオン二次電池事業などを抱えており、20年も収益力向上へ正念場が続く。

東芝は19年に損失リスクが大きかった米国液化天然ガス(LNG)事業を仏トタルへ売却した。15―18年の経営危機を招いた旧弊を改める構造改革は18年の米国原子力大手ウエスチングハウスの債権売却などから続いてきたが、ようやくリスク案件にけりをつけた。車谷暢昭会長は「20年は(経営危機という)難しい時期にいろいろあったことを元に戻す復活の年にしたい」と意気込む。東芝プラントシステムなど上場子会社3社の完全子会社化も粛々と進める。

ソニーは電機メーカーから「エンタテインメントカンパニー」に生まれ変わって業界の勝ち組となった。現在米国・ラスベガスで開催中の家電・IT見本市「CES」で自動運転の試作車を披露し、再び世界をあっと驚かせた。吉田憲一郎社長は「我々はモビリティーの未来へ貢献する努力を加速していく」と力強く語り、“独り勝ち”を印象づけた。

(取材・鈴木岳志)
日刊工業新聞2020年1月9日

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