初オンラインのCES開幕! ソニー、パナソニック、NTTなど日本企業の見どころをざっくり紹介

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オンラインで開幕したCES

世界最大級の家電・IT見本市「CES2021」が11日(米国時間)開幕した。新型コロナウイルス感染拡大を受け、初の完全オンライン開催。国内各社は「ニューノーマル(新常態)」に対応した技術・サービスを訴求する。

ソニー 最小ドローン公開

ソニーは、2021年春に事業開始予定の飛行ロボット(ドローン)プロジェクト「Airpeak(エアピーク)」について発表した。初公開の機体は同社製デジタルカメラを搭載可能なドローンとして業界最小クラス。欧州で実施した同社の電気自動車(EV)「VISION―S(ビジョンエス)」の公道走行の空撮に用いて、高い機動力や撮影の安定性を示した。

今回のCESでは「未来を再定義するテクノロジー」をテーマに、コンテンツの制作や視聴に関わる技術を出展している。エンターテインメント業界がコロナ禍でさまざまな制限を受ける中、遠隔や自動化などさまざまな技術の活用による進化が不可欠だ。

エアピークの高品質な空撮も、新たな映像表現の創出に活用する方針。映像会見に登場した吉田憲一郎会長兼社長最高経営責任者(CEO)は「将来的に、リアルタイムに捉えた宇宙と地球の映像を用いた新たなエンターテインメントも探索している」と述べた。

CESの発表に合わせ情報発信のためのウェブサイト「ソニースクエア」も開設。12本の動画で出展内容を紹介。例えば高精度なリアルタイム3次元(3D)映像制作技術では人気アーティストのライブ映像を公開。本物さながらの作品に仕上げた。

「エアピーク」の機体を公開する吉田CEO(ソニー提供)

パナソニック VRグラスで臨場感体験

パナソニックは社会が苦境に直面する中、前進し続けることを意味する「フォワード・フォーエバー」をサブテーマに盛り込んだ。同社が強みとするAV機器・ソリューションはスタジオやスポーツのスタジアム向けの撮影から編集、配信まで一貫提供し、ライブ映像の演出を訴求する。画質と音質を向上させ、臨場感ある体験ができる小型の仮想現実(VR)グラスなども披露する。

コロナ禍で注目度が高まっている住宅関連では、自宅内の換気扇など空調設備がスマートフォンとつながる換気統合制御システムを紹介。そのほかに人それぞれの個性を示すために気分、体調、表情の3要素を解析し全288通りのオーラで可視化するインスタレーションなども紹介する。

新常態における新しいコミュニケーションツールも開発した。子会社でIoT(モノのインターネット)製品を手がけるシフトール(東京都中央区)はネットで送れる手書きメモ用端末「CROQY(クロッキー)」を3月までに発売する。価格は1万9999円(消費税込み)でアプリ、クラウドは無料。シフトールの岩佐琢磨CEOは「紙のメモ、メッセージアプリの良さを融合した」と話す。

小型の高画質VRグラス(パナソニック提供)

TOTO 健康モニタリングトイレ

TOTOは開発中の「ウェルネストイレ」のコンセプトを初めて公表した。複数のセンサーを設置して便座に人が触れる部分と尿、便からさまざまな健康指標をモニタリングする。情報は携帯電話のアプリケーション(応用ソフト)に送られ、どのような食材を摂取すべきかや適切な運動量などを助言する。

「数年内に世の中に出していきたい」(中村良次デジタルイノベーション推進本部長)という。すでに人工知能(AI)やIoT系ベンチャー、研究機関と連携しているが、「ビジネスモデルの提案を含め、CESで新たなパートナーを発掘したい」(同)。

このほか、新型コロナの感染拡大を受け、「非接触」関連の製品・技術も展示する。トイレのフタの自動開閉、排せつ後の自動洗浄、手洗い時の自動水栓を紹介。

トイレットペーパー不足を背景に、20年に米国で販売を伸ばした温水洗浄便座「ウォシュレット」も改めて展示した。

ウェルネストイレ(TOTO提供)

NTT 次世代光構想を紹介

20年に続き2回目の出展となったNTTは、30年ごろの実用化を見込む次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」に関して、活用例や技術開発の進行状況などを紹介。NTTはソニーや米インテルと共同で20年1月、同構想の推進を目的とした団体「IOWNグローバルフォーラム(GF)」を米国に設立した。CESへの出展をきっかけに、IOWNGF加盟企業の増加も狙っている。

NTTはCESで農業やヘルスケアなどをIOWNの活用例として挙げる。澤田純NTT社長は以前からIOWNの方向性について、「リモートワールド(分散型社会)に適したようなサービスを出したい」と語っている。コロナ禍に伴って需要が高まりそうな遠隔でのスポーツ観戦も事例として紹介する。

オムロンヘルスケア バイタルデータ、医師が遠隔観察

オムロンヘルスケア(京都府向日市)は、家庭で測定したバイタルデータを医師や看護師と共有し、疾病の早期発見、早期治療につなげる製品・サービスを訴求している。

同社は20年9月に米国で高血圧患者の遠隔モニタリングシステム「VitalSight(バイタルサイト)」の提供を開始した。

患者が通信機能付き血圧計や体重体組成計などで測定したバイタルデータを、病院の電子カルテを介して医師や看護師と共有できる。測定結果に異常があれば医師にアラートで警告する。

他にも健康管理アプリ「オムロンコネクト」も紹介している。専用機器で測定した血圧や体重、歩数のデータをスマホで管理する。

21年春にはアプリを更新し、心電図の情報も管理できるようになる。

米国で展開しているバイタルサイトのキット(オムロンヘルスケア提供)

アイシングループ 位置情報で物流支援

新常態ではモビリティーの役割も広がる。アイシン精機などアイシングループは、強みのナビゲーションシステムやコネクテッド技術を活用したサービスや技術を出展した。自動車部品が扱うデータを活用する「位置情報活用サービスプラットフォーム」を生かした物流支援サービスなどを紹介する。

今回、カーブやブレーキで発生した加速度をセンサーで検知し、振り子の原理で床を最適制御する「振り子式加速度低減技術(PARS)」を初公開。走行時の加減速や遠心力を捉え、最適な角度に保つことで荷物などを安定させる。割れやすいものなどをPARSを活用した無人搬送車(AGV)などで安全に運搬できるモビリティーの未来を想定する。

【国内で関連イベントも…出展製品・技術を体感】

今回のCESは技術・製品を体感できる機会が大幅に減ったが、それを補う取り組みも実施されている。

体験型ストア「b8ta Tokyo―Yurakucho」(東京都千代田区)では、CES開催に合わせて期間限定の特別展示を始めた。CESに出展するJAPAN TECHプロジェクトに参画する6社・団体や経済産業省によるスタートアップの育成プログラム「J―Startup」の企業が出展している。遠隔操作や非接触、密閉対策などコロナ禍で注目が集まるテーマに関する展示も並ぶ。シナプス(東京都世田谷区)は、二酸化炭素(CO2)濃度をリアルタイムで見える化する換気アラートシステムを会場内で運用。場内の感染対策にも活用している。サクラテック(横浜市港北区)は衣服の上から非接触で心拍などを図れる「ハンディ・バイタルセンサー」を披露した。

一方、日本貿易振興機構(ジェトロ)はCESの開催に合わせ、新型コロナ感染対策や高齢化などの社会課題解決に貢献するスタートアップを紹介するオンラインイベント「Japanセッション」を14日8―10時(日本時間)に動画投稿サイト「YouTube」で配信する。ユカイ工学(東京都新宿区)など10社が参加する。

シナプスの換気アラートシステム

日刊工業新聞2021年1月13日

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