実験心理学で「デザイン」を評価!「目立ちやすさ」を定量的に判断するには?

おすすめ本の抜粋「よくわかるデザイン心理学 人間の行動・心理を考慮した一歩進んだデザインへのヒント」

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デザイン心理学の目指すこと

「心理学的な手法を用いて人間とデザインとの関係を明らかにし、それをデザインの創造や改善に生かす」ことがデザイン心理学の基本的な内容なのですが、具体的にはどのようなことを目的としているのでしょうか? それについて述べてみましょう。

デザイン心理学が扱うのは、他のデザイン科学の領域と同じように、デザインにおけるさまざまな問題です。それを心理学(特に、実験心理学)の方法論を用いて解決しようとするのがデザイン心理学です。つまり、デザインにおける問題解決のために、心理学の方法論を利用するのです。パッケージデザインの例を挙げてみましょう。パッケージデザインのコンセプトは、それがどのような製品のパッケージかによって大きく変わります。しかし、どのような製品であれ(例外的に特殊な製品は別ですが)、「ユーザに目立ちやすく、競合製品と明確に区別できるパッケージ」というコンセプトが重要となります。

ここで、ある製品のパッケージがリニューアルされることになったとしましょう。リニューアルの目的は、現在のパッケージや競合他社製品よりもユーザに目立つようにすることです(実際のリニューアルでは、もっと多くの目的があることが普通ですが、ここでは話を単純化するために、このように仮定します)。リニューアルされた新デザインのパッケージが、現在のパッケージや競合他社製品のパッケージよりも目立つかどうかを客観的に判断するにはどうすればよいのでしょうか?

たとえばA とB という2 つのパッケージデザイン案があったとき、直感的にほとんどの人がA のほうがB よりも目立つと感じたとしても、それだけでは定性的な判断に過ぎないので(デザインでは定性的な判断も重要ですが)、確かな証拠とはなりえません。ところが、実験心理学の手法を応用すると、定量的にA とB の2 つのパッケージデザイン案の目立ちやすさを定量的に比較することが可能になるのです。

その一例が、視覚的探索(visual search)の手法を応用するという方法です(図参照)。視覚的探索というのは、ある特定の対象(目標刺激あるいはターゲットといいます)をそれ以外の対象(妨害刺激あるいはディストラクターといいます)の中から探し出すという課題です。そして、この視覚的探索課題では、目標刺激を発見するまでの時間[反応時間(reactiontime)といいます]が測定されます。

この視覚探索課題において、目標刺激をパッケージデザイン案A にした場合とB にした場合でその反応時間を比較すれば、パッケージデザイン案A とB の目立ちやすさを数値的に比較できることになり(反応時間が短いほうがパッケージデザインとして目立ちやすいことを意味するのです)、デザイン評価のために有益なツールとなるのです。

(「よくわかるデザイン心理学 人間の行動・心理を考慮した一歩進んだデザインへのヒント」p.4-5より一部抜粋)

書籍紹介

心理学は記憶、学習、思考などを含めた人間の行動全般を科学的に扱います。「どういうデザインが好まれるのか」「何がストレスになるのか」「どうすれば注意を引きやすいのか」といった商品開発時に発生するデザインの課題解決に心理学の手法を用いるのが、デザイン心理学です。形あるものだけでなく、サービスやシステムのような目に見えないものも応用できる対象となります。本書では、科学的な根拠をもとにしたデザインとは何か、どのように導くのかなどについて具体例とともに紹介します。

書名: よくわかるデザイン心理学 人間の行動・心理を考慮した一歩進んだデザインへのヒント
 監修者名: 日比野 治雄
 著者名: BB STONEデザイン心理学研究所
 判型:A5判
 総頁数:156頁
 税込み価格:2,420円

販売サイト

Amazon
 Rakutenブックス
 日刊工業新聞ブックストア

<監修者>

日比野 治雄(ひびの はるお)
 千葉大学大学院工学研究院 教授(日本で唯一のデザイン心理学研究室)
 株式会社BB STONEデザイン心理学研究所(特許第5854411号を基盤とする千葉大学発ベンチャー) 技術顧問

●専門分野
 デザイン心理学、色彩科学、デザインに関する認知科学、エモーショナル・デザイン

著者

株式会社BB STONEデザイン心理学研究所
 科学的なデザイン・コンサルティング手法で特許を取得した千葉大学工学部デザイン心理学研究室発のベンチャー企業。
 人間の行動、言葉で語れない部分を、実験心理学の手法を応用し、紐解いていくという、今までにない科学的なアプローチによるコンサルティングを行っている。心理学的視点を用いることで、従来のアンケートや主観的な評価では得られなかった、消費者の本音、嗜好、意思決定のプロセスを明らかにすることを可能とした。
 デザインの見やすさ、わかりやすさ、印象だけではなく、企業の抱えるさまざまな問題解決も独自の実験手法にて行っている。その顧客の9割以上が一部上場企業であり、金融機関、官公庁、大手メーカーなど多岐にわたる。
「デザイン心理学で顧客の言葉にならない声を紐解き未来を予測 新たなマーケティングを科学する」企業である。
 株式会社BB STONEデザイン心理学研究所の公式ホームページはこちら

目次(一部抜粋)

【第1章】「デザイン心理学」とは
 デザインと心理学の関係/デザイン心理学の目指すこと/デザインと人間/デザイナーはユーザの選択をデザインすべし!?/[開発ストーリー]〈株式会社イプサ〉/人間はなぜカッコいいデザインに惹かれるのか?/デザインの価値

【第2章】デザインへのヒント―人間の特性を知る
 人間の知覚特性-人間は機械ではない-/見ているようで実は観ていない-アイトラッキングの落とし穴-/人間は皆、他人に厳しく、自分に甘い?/物事には限度が…-感覚遮断の恐怖!?-/人間の知覚特性-錯視-

【第3章】シニア向け商品をデザインする
 シニアを対象とした製品・サービスを扱うには…/シニア向けの製品の功罪/身近にあるデザインの事例-家電のリモコン-/[開発ストーリー]〈ダイキン工業株式会社〉/シニアとデザイン

【第4章】ノートをデザインする、文字をデザインする
 身近にあるデザインの事例-ノートの罫線-/勉強がはかどるノートは作れる?/製品の性能を比較するには-ノート罫線の例-/身近にあるデザインの事例-書体とフォント-

【第5章】空間をデザインする
 人間にとって快適なデザイン/照明は天井から?-既成概念の打破-/照明による視覚的ストレス-『21世紀のあかり』プロジェクトへの参画-/人間の知覚特性

【第6章】色とデザイン
 虹の7色の起源はニュートン!?/押してもだめなら引いてみな!?-逆転の発想-/人間は皆同じ?-色覚の個人差-/色の好悪を知ることの難しさ/色を使うとき知っておくべき色の効果

【第7章】科学的根拠が求められる理由
 これからのデザインに必要な条件-科学的根拠-/データとは何か?-データの種類/そのデザインを知らざれば、それを使う人を視よ!?/「人を測る」とは?/[開発ストーリー]〈株式会社電通〉/順位付けの科学-正規化順位法-/短時間呈示法によるデザインの評価

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