成長事業を再定義したIHI、井手社長が掲げる「3つの軸」

井手博社長に聞く

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井手博社長

―2022年度までの経営方針で成長事業を再定義しました。

「航空輸送システムと脱炭素化を実現する技術、防災・減災の三つを成長の軸に位置付ける。20年度に凍結した一部の投資を再開し、航空ではデジタル化を進めて生産効率を高める必要がある。将来を見据えた投資は部門ごとの個別最適で考えるのではなく、大局的な視点からトップダウンで判断する」

―航空機分野は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響が長期化する見込みです。

「航空エンジン関連の需要は一定程度は回復するが厳しいだろう。資源・エネルギー・環境、社会基盤・海洋、産業システム・汎用機械の三つの事業領域が収益を支える状況が続く。ただ、コロナ禍よりも脱炭素化の動きのほうが(事業環境への)インパクトが大きい」

―燃料に水素を使う旅客機の実用化も見込まれます。

「何らかの形でかかわると思う。エンジンなどの推進系だけではなく、いろいろと変える必要があるだろう」

―保守などのサービスを重視する方針を打ち出しています。

「短期的に顧客の設備投資の意欲が低下することが考えられ、計画の期間中に(サービスなどを含む)『ライフサイクルビジネス』に人員を配置し、売り上げも約3割増やす。20年度に一定の成果が出てきている」

―プラント分野の採算が下振れするリスクを取り除くことで収益の安定化につなげます。

「痛手を負った米国のEPC(設計・調達・建設)の案件では、工事を管理できずに計画が遅れてコストが膨らんでしまった。地場の業者を管理しにくいことを学んだ。今後は米国で同様の案件に参画しない」

―働き方改革に着手しました。

「リモート(遠隔)による勤務がうまくいく部署と、そうではない部署がある程度分かってきた。制度の見直しやデジタル変革(DX)の活用も視野に入れて検討を進めている」

記者の目/「非航空機分野」育成が課題

プラント分野の不振で業績が落ち込む悪循環を断ち切ったが、コロナ禍により今度は主力の航空機分野が大きな打撃を受けた。22年度までの3年間でサービスで稼ぐ事業モデルを築くとともに、同分野に続く収益の柱を育てることが課題だ。脱炭素化に必要な技術開発も進めているが、他社との競争が激しくなる見通しで、投資戦略がカギとなる。(孝志勇輔)

キーワード
航空

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