ブリヂストン×JAL、タイヤ摩耗予測技術を活用して航空機の整備効率化に挑む

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(写真はイメージ)

航空機タイヤ摩耗予測

ブリヂストンは新たな中長期事業戦略を掲げ、コアとなるタイヤ・ゴム事業を生かしながらソリューションカンパニーへの転換を目指そうとしている。その一環で新たな価値の共創を目的に、5月から日本航空(JAL)と航空機のタイヤ摩耗予測技術を活用した整備作業の効率化に取り組む。協業の内容や今後の展開について航空ソリューション事業本部の中馬圭司本部長に聞いた。(鎌田正雄)

―協業の背景と取り組み内容について教えて下さい。

「航空機タイヤは機体の速度と重量を支えながら離着陸を繰り返す過酷な条件下で使われる。航空機が数百回離着陸するごとにタイヤを交換する必要があった。一般的に使用環境によってタイヤの摩耗進展速度が異なるため、突発的なタイヤ交換や交換時期の集中など課題があった。そこでJALが持つフライトデータと、当社で培ってきた独自のアルゴリズムを用いて摩耗予測を行う。これによりタイヤに関する効率的な整備計画、作業実施ができ、在庫も圧縮できる」

―独自のアルゴリズムとはどのような仕組みですか。

「リアルとデジタルがキーワードになる。リアルの面では乗用車など、さまざまなモビリティーのタイヤの使用条件に対してタイヤの摩耗、耐久性がどうなるのかなど、入力と結果のデータを膨大に積み上げてきている。これが開発の大きなノウハウになっている。膨大なデータをどう処理・活用するのかがデジタルの部分。過去から積み上げてきたリアルの知見と、デジタルを掛け合わせて摩耗予測につなげている」

―5月にタイヤ整備の作業効率化に着手しました。

「問題なくサービスを提供できている。新型コロナウイルスの影響でフライトの便数は昨年対比でかなり落ちている。今までにないような大きな変動の中でも、摩耗予測の精度は保てている」

―今後はどんな展開を考えていますか。

「JALの社内でも取り組みを拡大する提案もしている。他の国内外エアラインへの導入も視野に入れ、具体的な話も進めている。また、社内にある別のタイヤ部門への展開に向けて協議を始めている。データを基にタイヤ開発にもつなげる」

【チェックポイント/他部門展開・開発に活用】 タイヤメーカー各社は乗用車用タイヤにおいて新興国メーカーの台頭といった影響を受け、収益力が低下している。同様にブリヂストンも営業利益が減少している中で、大規模な構造改革を進めている。今回のJALとの協業は、リアルとデジタルを掛け合わせた新しいビジネスモデルの形として具体化したものだ。この知見を社内の他部門にも生かし、新たなタイヤ開発に活用するなど“価値の増幅”につなげていく狙いがある。

日刊工業新聞2020年12月29日

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