マテリアル分野の製造プロセス、産総研を核にプラットフォーム構築へ
経済産業省はマテリアル分野における製造プロセスの高度化に向けたプラットフォーム構築に乗り出す。2021年度末までに、産業技術総合研究所の各地域センターがそれぞれ持つ研究特性を生かすことで、データ駆動型の製造プロセス改善や分析などが可能な拠点の整備を進める。加えて、さまざまなプレーヤーが参加できる仕組みをつくり、地域を核としたイノベーションの加速や産業集積による活性化を目指す。
プラットフォーム整備は全国の産総研地域センターのうち、つくば(茨城県つくば市)、中部(名古屋市守山区)、中国(広島県東広島市)の3拠点で重点的に進める。それぞれの拠点で展開してきた研究特性を踏まえ、製造プロセス装置や分析装置などを重点的に投入して原料から製品化までの過程を一気通貫で分析できる環境を整える。
各産総研地域センターの整備による機能強化を核とした連携体制の構築も図る。地域のマテリアル関連企業が持つ技術の規模拡大や高度化などに対し、他の企業や大学など幅広いプレーヤーの参加による展開を進める。新技術の確立や基盤強化などの成果による波及を通じ、さらなる産業集積や地域発展などの効果を狙う。
政府は年度内の策定を目指す「マテリアル戦略」における論点の一つに製造プロセス技術の高度化を掲げている。研究者の属性や経験に頼る従来の手法では、開発期間の短縮や多品種化などさらなる応用への対応が課題とされてきた。50年に温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す上ではマテリアル分野でさらなる技術革新も問われてくる。
経産省は産総研を核とした展開を進めることで技術や人材が集結する協調領域の形成を図り、各社がブラックボックス化せずに新技術を創出する仕組みを描く。
日刊工業新聞2021年1月6日