ガソリン車なしの新型「ノート」、退路を断つことができた独自HVシステムの感動レベル

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新型ノートをプレゼンする日産自動車の星野朝子副社長

【第1製品開発部チーフビークルエンジニア 渡辺明規雄氏】

3代目となる小型車「ノート」では、独自のハイブリッドシステム「eパワー」を刷新した。同システムはエンジンを発電のみに使い、モーターで駆動する仕組み。システムを構成するエンジン、モーター、制御ソフトウエアなどの設計を一から見直し、電気自動車(EV)に近い上質な走りを追求した。

最大トルクや出力をそれぞれ従来比10%、6%向上し、発進時の加速性能を高めた。またホイールの回転センサーから路面の状態を把握。路面が粗く走行時の音も大きくなる道になると、エンジンを始動して発電する世界初の制御技術を開発し、エンジンの作動音を感じさせない静かな走りも実現した。

運転支援技術では高速道路で先行車を自動追従する「プロパイロット」で、ナビゲーションシステムとの連携機能を追加した。従来はジャンクションなど曲がりが急な道路では自動追従を一度停止していたが、ナビの地図情報を元にカーブでの減速を支援することで極力継続できるようにした。また停止後の追従再開でも自動追従機能を解除するまでの停止期間を、高速道路と認識した場合に従来の3秒から30秒に延長して使いやすくした。

内装にもこだわり、7インチと5インチのセグメントディスプレーを左右に統合して配置した。ナビとも機能を連携し、目前の交差点の曲がる方向を7インチ画面側に表示するなど、視線を極力動かすことなく運転できるように配慮した。

車台も刷新して、ルノーと開発した共通車台「CMF―B」を日本で初めて採用した。超高張力鋼板(ハイテン材)を要所に配して車体剛性を同30%向上。サスペンションなどの剛性も高め、eパワーの走りを支える静粛性や、取り回しの良さを実現した。

同車台は既に日産の「ジューク」やルノーの量販車「クリオ」などで採用。走行実験を繰り返すなど協業(アライアンス)で磨き上げており、開発費の削減につなげた。シートの骨格やエアコンなどでも設計を共有。同じ車台を採用した車種との供用率を半分程度に高めた。

今後の展開を含めCMF―Bを採用する車種の販売はアライアンスで200万台規模も見込まれる。部品や設計の共用による量産効果を取り込むためにも、車台開発時にルノーとの連携を密にし、初期段階の基本設計をいかにつくり込むかが重要になる。

【記者の目/eパワーに開発資源集中】

2代目ノートでは約3割の顧客がガソリン車を購入したが、3代目はeパワー搭載のハイブリッド車(HV)専用車とした。渡辺明規雄氏はeパワーに開発資源を集中して性能を磨き上げる方が「感動に値するレベルの商品を届けられると判断した」と説明する。新型車にはeパワー一本に絞り、退路を断って示した意気込みが隅々に感じられる。“日産復活”の象徴となるか注目される。(西沢亮)

ノート X 全長×全幅×全高=4045×1695×1520mm

車両重量=1220キロg

乗車定員=5人

発電用エンジン=DOHC水冷直列3気筒「HR12DE」

排気量=1198cc(ガソリンエンジン)

フロントモーター=交流同期電動機「EM47」

最高出力=85kW(116馬力)

燃費=1l当たり28.4km(WLTCモード)

価格=218万6800円(消費税込み)

日刊工業新聞2020年12月23日

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