1日1500万人来店のファミマ、沢田社長がデジタル強化で「毎日口説いている」相手

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ファミマの沢田社長

新型コロナウイルスの影響で、都市部や駅前などを中心にコンビニエンスストアは売り上げを落とした。ファミリーマートの2020年3―8月期の連結当期損益は107億円の赤字を計上し、既存店売上高も前年割れが続いている。新型コロナの収束が見えない中、どう動くのか。沢田貴司社長に現状と今後について聞いた。

―今年はどのような1年でしたか。

「20年頭に商品を製造するベンダーの統廃合が完了し、2月には早期退職を実施した。社内改革にめどをつけ、さあこれからという時に新型コロナが来た。廃棄ロスの本部負担割合の引き上げなど加盟店支援に110億円、罹患(りかん)発生店舗への支援金など新型コロナ対策に40億円を投じている。本部の利益は落ちているが、加盟店利益は上がっている」

―来店客が戻りにくい都市部や駅前などの店舗はどうしますか。

「賃料は下がらず、トップライン(売上高)は上がらない状況で、ここを閉めたら競合他社が喜ぶような店でなければ閉店する。一方で、無人決済店舗を開発するタッチ・トゥー・ゴーとの提携、アマゾンロッカーの300台増設など、人件費に見合う省人化投資を一気に進めている。ベンチャー系企業とも協業できないか常に話をしており、人手をかけずに集客、加盟店の収益が上がる売り場を作る」

―伊藤忠商事とはデジタル広告配信のデータ・ワンを設立し、稼働しました。

「リアル店舗とスマホ決済サービス『ファミペイ』を持ち、毎日1500万人が来店するわが社には宝の山があるが、生かしきれていない。NTTドコモなどとさまざまなデジタルサービスを構築していく。他にも組める相手はいるはずで、デジタルJV(共同企業体)組成に向け、毎日口説いている。この2―3年が勝負だ」

―21年に注力することは。

「21年3月からの中期経営計画を作っている。これまでは統合や構造改革と内向きなことをやらざるを得ず、それがようやく終わった。地域再生本部が収益の悪化した加盟店を立て直して、新しい加盟店オーナーに引き渡す件数も21年2月までに100店舗になる。加盟店の収益を上げるために、データに基づき、売り場から発想した売り場作りに力を入れる。お客さまに『おいしいそうだな』『面白い』『変わったな』と伝わるものに作り直す。面白くなってきた」

記者の目/過去にとらわれない変化に期待

「地域密着」や「変化」に強い思いが見て取れた。兵庫県の淡路島で軽トラックを使った移動販売の実験を始めている。高齢者施設など地域の需要があるからだ。また、売れる商品を作るため、売れるものを作れる人材を徹底的に採用するという。過去の成長事例にとらわれず、なりふり構わず変化する姿を見せてほしい。(丸山美和)

日刊工業新聞2020年12月28日

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