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改革の手を緩めないファミマ社長、「本部は小売業を超越する先鋭軍団になれ」

沢田貴司社長インタビュー「加盟店の先にお客さまがいる」
改革の手を緩めないファミマ社長、「本部は小売業を超越する先鋭軍団になれ」

ファミリーマート社長・沢田貴司氏

コンビニの24時間営業問題が表面化して1年が経過した。業界2位のファミリーマートは24時間営業奨励金の増額などに取り組む。「本部が一番ばかになり、ぼけている。現場は待ったなしだ。私自身も安住せず、常に意識して動いている」と話す沢田貴司社長。改革の現在地を聞いた。

―24時間営業問題を受け、現状は。
「昨年約630店が時短実験し、結果を公表した。6月からはFC加盟店が希望すれば、加盟店判断で毎日時短か週1時短の2パターンから選べる。何店舗が時短になるかはまだ言えないが、ある程度の数は出てくる」

―加盟店の支援よりも、フリーマーケットアプリケーション(応用ソフト)関連の発送代行など作業負担が増える方が早いのでは。
「過去、新サービスは右へならえの導入だった。今後はそういうことを避ける。加盟店には権利がある。一定レベルのフォーマットは必要だが、加盟店が選択できる仕組みを作っていく。店によってサービスが異なるケースも出てくる」

―例えばA店にあるサービスがB店にはないということですか。
「そうだ。加盟店の都合が一番優先されるべきだし、いろいろな判断をしていただくようにしたい。画一的にするつもりはない」

―3月1日付で全国を四つに分けたエリア本部に再編しました。
「東京の本部で北海道のことが分かるわけがない。分からないことを前提にやらないといけない。ルールを決めた上で、地域を統括するメンバーに権限を委ねていく」

―エリア本部にとって不都合なことを東京の本部に上げなくなる危険はありませんか。
「往々にして組織はそのようなものだろう。だから社内では『隠すな』と言っている。モニタリングや制度作りが大事になる。今回初めて権限を与えるが、ダメなエリアもうまくいくエリアも出てくるだろう」

―権限の中身は。
「これから作っていく。商品や採用はどこまで委譲できるのか、人事はどこまでやるのか。東京の本部とエリア本部が議論しながら作り上げていく」

―各エリアはどう動きますか。
「全国で毎日約1500万人のお客さまが買い物をする。それを支えているのが20万人の店舗スタッフ。その20万人とともに仕事をするのがスーパーバイザーであり、各営業所だ。地域に住み着き、寄り添い、貢献できる人材でないといけない。地域のことが分かる軍団にする」

「店舗の周りで起こっていることがよく分かる状態にしたい。子ども食堂、高齢者の運転免許返納や特殊詐欺対策の講習会を開いているのもその一つ。土着化して加盟店の信頼をもっと築けば、地域になくてはならない存在になれる」

―東京の本部の役割は。
「東京は本当の意味のイノベーションを起こす組織にならないといけない。本部は地域をわかっているエリアの人たちのニーズをくみ取って、製品化やサービス化をする。そのためには小売業を超越する必要がある。メーカーやマーケティング会社、情報システム会社以上に能力を持つプロになっていくことが大事。そうなれば、あらゆるものが商品化でき、現場に貢献している人たちにすぐ対応できる先鋭軍団になる」

―店舗数についてどう考えていますか。
「足りない地域もあるが、総じて飽和。既存店客数も減少している。店舗数は追っていない。お客さまと接しているのは加盟店で、一番大事なのは加盟店。加盟店なくして我々はない。加盟店の信頼感が圧倒的に高い会社になる。加盟店の先にお客さまがいる」

(聞き手・丸山美和)
日刊工業新聞2020年3月23日の記事から抜粋

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