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終電繰り上げだけじゃない!苦境のJR各社が狙う「来春ダイヤ改正」

JRグループの2021年3月13日ダイヤ改正はJR東日本が首都圏、JR西日本が近畿圏で終電を繰り上げるなど都市圏輸送で大きな転換点を迎えた。新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、新幹線や在来線特急は当面続くであろう移動需要の低迷と回復状況にも配慮し、柔軟性を重視。一方、移動需要の激減で、厳しい経営環境に立つJR九州、JR北海道、JR四国の三島会社は収支改善を狙い、運行規模の縮小に踏み切る。

首都圏の終電繰り上げは対象とする路線が概要発表時から1線区増えて、18線区で実施する。削減規模も終電前の増発分と差し引きで69本と、同1本増えた。初電の繰り下げ5線区は変わらない。近畿圏の終電繰り上げは発表時と同じ12線区で行い、48本削減する。

終電繰り上げは、安全で安定的な鉄道運行を持続させるため、現場の労働環境を改善するのが目的。人手不足が顕在化する中、大型機械の導入で生産性向上を図るにも、保守間合いの十分な確保が以前から課題だった。働き方改革の浸透で深夜時間帯の利用は減っていたが、コロナ禍で傾向は加速し、実現の機運が一気に広がった。

コロナ禍の行動変容で利用状況に変化は現れているが、JR東は山手線の朝ピーク時間帯周辺で内回り・外回り各2本の運行を削減する程度にとどめた。JR西は北陸や北近畿方面など特急の一部列車を臨時化して、利用状況を見つつ柔軟に運転を見直す考えだ。

「密」回避行動で混雑解消が進む一方、有料座席車で着席して通勤するニーズも増えている。JR東は東海道線で通勤特急を新設するほか、JR西は通勤時間帯に運転する特急の停車駅を拡大する。

赤字路線を多く抱え本州3社に比べて経営基盤の脆弱な三島会社では、コロナ影響の長期化と足元の利用状況を踏まえて、経費削減の観点から、鉄道運行規模の縮小が余儀なくされている。

JR九は平日の運行本数を九州新幹線で現行121本から107本に、在来線特急で同272本から243本に減らす。JR北は現行86本の在来線定期特急を72本に減らし、12本を土休日のみの運転など臨時化するほか、車両編成を減車して需要期に増結。利用の少ない18駅を廃止する。

鉄道貨物ではコロナ禍の巣ごもり消費の拡大を背景に、宅配便など「積み合わせ貨物」の幹線輸送でモーダルシフトの需要が発生。JR貨物は大阪―盛岡間、名古屋―福岡間などに新たに積み合わせ貨物専用のコンテナ列車を設定する。

日刊工業新聞2020年12月21日

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