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効率的な“学び方”は科学的に見つけられる?情報工場と九州大が共同研究

ビジネスからリベラルアーツまで様々な分野の良書をダイジェスト配信する「SERENDIP(セレンディップ)」を運営する情報工場( 藤井徳久社長、東京都港区)と九州大学は、様々な資料を調べる「調べ学習」における学習行動パターンが知識の広がりにどう影響するか共同研究を始めた。

この研究は、九州大の授業内のテーマ「人間社会におけるデータの利用:2030 年のデータ利用サービスをデザインする」での「調べ学習」で取った学習行動と、それにより知識がどのように広がったかをデータ化および分析することで、学習者が効果的に知識を広げられるパターンを見出すことが目的だ。

この研究では、学生向けのみならず、社会人向け学習プログラムにおける効果的な学習環境のデザインや構築のほか、学習行動に対する効果測定としてもこれまでにない示唆を得られることが期待される。

具体的な内容としては、学生はWeb 検索と図書館などにおける資料閲覧、そして「SERENDIP」のダイジェスト閲覧の 3 つを用いた「調べ学習」を複数回にわたって行い、その後、「調べ学習」のテーマに関連する概念(知識)を線でつないだ図(概念地図)を、成果として作成する。

概念地図のサンプル

これらの実験データから、各学生が行った「調べ学習」における行動履歴の時系列データをディープラーニングまたはデータをグループ分けするクラスタリングを行い、カテゴリごとに分類する。その上で、行動履歴のカテゴリごとの知識の広がりの違いを分析、どのような行動パターンが知識の広がりに貢献するかを考察していく。

研究を主導する九州大学の木實新一教授は、「『調べ学習』の環境・方法と知識の広がりがどのように関わりあっているか具体的な分析を行い、効果的な学習環境に関する知見を得たい」と、学習環境やツールの実現への意欲を示した。

現在のように変化の激しい時代は、新たな知識を学び、それらを組み合わせて柔軟な発想を生むことが必要とされている。一方で、 Web や図書館、知識コンテンツなどを含む多様な情報に対して、どのような学習行動をとれば効果的に知識を広げられるか、よく分かっていなかった。

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