ニュースイッチ

年間800万冊を作る伊藤手帳の工場、落丁防ぐカギはバーコード

年間800万冊を作る伊藤手帳の工場、落丁防ぐカギはバーコード

「丁合」では、手帳の16ページ分を1つの折りとした「折丁」を1冊の順番に並べる

伊藤手帳(名古屋市東区、伊藤亮仁社長)は、80年以上続く老舗手帳メーカー。OEM(相手先ブランド)製品をはじめ、企業手帳や学生手帳など年間約800万冊を小牧工場(愛知県小牧市)で生産する。2013年からは表紙のビニールカバー生産を内製化。これを機に新たな事業の柱として自社製品の拡充も急ぐ。

伊藤社長は小牧工場について「乱丁・落丁を外に出さないための仕組みを最大限に施した工場。そのカギを握る検査装置は各工程ごとに設置している」と強調する。「(ユーザーが)毎日のように書き加えて育てる手帳は本と異なり取り換えが難しい」(伊藤社長)ため、検査には細心の注意を払う。

同社独自の検査は一枚一枚に印字されたバーコードを活用する。自社開発したバーコードカメラを糸で紙をとじる「糸がかり」工程の機械に内蔵。「バーコードでページの順番を確認し、落丁を防ぐ」(同)仕組みだ。

小牧工場では表紙のビニールカバーを生産することで、本体とセットにした完成品を文具メーカーへ納品することが可能になった。併せて自社ブランド「ユメキロック」も展開。上下2段に分かれた「セパレートダイアリー」や折りたためる「テテフ」も手がける。また、ビニール加工技術を生かして筆箱やマスクケースなどの生産も行う。

今後は省人化への対応が課題だ。各工程をどれだけスムーズにつなげるかに頭を悩ませている。現状では各工程間の移動は人手を介して行われており、ラインは分離している。「(手帳の)製本方法が多種多様で、1本のラインに乗せるのが難しい」(同)という。そこで「各工程をつなげて移動を楽にする」(同)ことを第一に、新たな設備導入を検討している。(名古屋・浜田ひかる)

【工場データ】
 1937年創業。以前はOEM中心だったが、2011年から自社商品の生産も始めた。12年に移転して操業開始した小牧工場は自社唯一の工場。敷地面積は4950平方メートル。生産能力を旧工場の約2倍に高めた。
日刊工業新聞2020年12月22日

編集部のおすすめ