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日本と欧州では流行が違う?知ってるようで知らないブレーキの話

おすすめ本の抜粋「きちんと知りたい!スポーツバイクメカニズムの基礎知識」

ブレーキの種類はとても多いです。そして、世界各国でも微妙に違いがあることが特徴です。文化と同じようにブレーキも独自の発展を遂げています。

作動する場所

ブレーキの作動場所は主に3つに分けられます。まずは車輪のリムに作動するブレーキ。次に車輪の中心つまりハブに働くブレーキ、そしてタイヤを直接止めるブレーキです。最後に紹介したブレーキは「スプーンブレーキ」と呼ばれ、ブレーキ体をフロントフォーク部でソリッドタイヤに押し付けていました。

リムに作動するブレーキ

リムに働きかけるブレーキなどを総称して「リムブレーキ」と呼ばれることも多くなりました。リムブレーキはブレーキレバーを握ることによりインナーケーブルが引かれ、ブレーキシューがリムを左右両側から押し付ける構造になっています。

同じリムブレーキでも、ロードバイクはキャリパーブレーキを使用しています。一方、マウンテンバイク(MTB)はVブレーキが採用されています。キャリパーブレーキが速度調整といった側面を持ち合わせるのに対し、Vブレーキは“ゼロイチ”という表現が用いられるほど、車輪がロックするくらいによく効きます。

キャリパー:ディスクブレーキは主にブレーキレバー、ブレーキホース、キャリパー、ブレーキパッド、ディスクローターに分けられる。キャリパーはディスクローターを両側のブレーキパッドで挟み込む構造。

日本では見かけませんが、欧州では街乗り用の自転車にVブレーキがよく装着されています。時代は進み、ロードバイクやマウンテンバイク、そしてE-bikeの隆盛とともに、油圧式ディスクブレーキが標準仕様のような勢いで台頭しています。

ディスクブレーキ

ディスクブレーキは金属製の円盤(ディスクローター)をハブにねじで取り付け、ブレーキ本体(キャリパー)の左右のパッドによりディスクローターを挟みブレーキをかけます。

ディスクローター:ディスクローターは固定方法によって大きく2 種類に分けられる。左側が6 穴ボルト、右側がセンターロック。ディスクローターの径も140mm、 160mmなどといった違いがある。

機械式(メカニカル)と油圧式(ハイドローリック)に分類されます。

機械式はインナーケーブル、油圧式はブレーキオイルを使ってブレーキパッドを動かします。オートバイや自動車に使われているブレーキと基本構造が同じで、これまで自転車に使われてきたリムブレーキより強力な制動力を得られ、悪条件でも影響を受けにくいとの理由も普及に一役買っているかもしれません。

ブレーキパッド:ブレーキパッドはキャリパーの内部に装着されている。消耗品であるため摩耗したら交換しなければならない。左側は摩耗したもの、右側が新品。
 パッドの厚みがメーカー指定よりも薄くなると、制動時の音鳴りが発生することがある。

【POINT】
◎ブレーキパッドの材質はレジンとメタルに分けられる
◎スポーツバイクの使用環境によってブレーキパッドの種類を変える
(「きちんと知りたい!スポーツバイクメカニズムの基礎知識」p.40-41より一部抜粋)

<書籍紹介>

自転車は200以上にもわたり活用され、用途も移動手段から遊ぶための道具へと進化しています。最近では街中でも目にすることが多くなったスポーツバイク。スポーツバイクはロードバイク、マウンテンバイクの他に、クロスバイク、シクロクロスバイク、BMXなど多くの車種があります。
 フレームの材質は木製→鉄製→アルミ製→チタン製→カーボン製と軽量化が図られ、次第に「ロードレーサー」から「ロードバイク」という呼称に移り変わってきました。材質や呼称が変わっても、基本的なフレーム形状であるダイヤモンド形は変わりません。長年親しまれているスポーツバイクは変わるところと、変わらないところを取捨選択しながら成長を続けています。
 本書では、メカニズムの基礎編として構造を、上級編として最新のメカニズムを解説します。そのほか具体的なパーツ、スポーツバイクと人体のマッチングなどを紹介します。

書籍名:きちんと知りたい!スポーツバイクメカニズムの基礎知識
 編者名:一般財団法人自転車産業振興協会
 著者名:菊地武洋、伊崎智弘
 判型:A5判
 総頁数:160頁
 税込み価格:2,420円

<販売サイト>
Amazon
Rakutenブックス
日刊工業新聞ブックストア

<執筆者>
菊地武洋(きくち・たけひろ)
東京都生まれ。自転車ジャーナリスト。
高校生の頃に自転車専門誌でアルバイトを始め、国内外の技術者や選手と交流を持つ。スポーツバイクのきっかけはツーリングに始まるが、ツール・ド・フランスをはじめとするトップクラスのレース取材の経験がある。メカの解説と試乗記事を得意とし、これまで試乗した自転車は2000台近くになる。スポーツバイクメカニック(SBM)の教本監修なども手掛ける。

伊崎智弘(いざき・ともひろ)
福岡県北九州市生まれ、明治大学卒業、キャリアコンサルタント。試験機器メーカーを経て、一般財団法人自転車産業振興協会勤務。自転車と車いすのISO、JIS規格の作成に携わり、アトランタパラリンピック自転車競技において日本初参加時の機材開発も担当。4年間ドイツ駐在、主にEUの自転車交通政策とアンチダンピング措置について調査研究。帰国後、現在のスポーツバイク(SBM)講座・検定を立ち上げた。その後自転車の休日セミナー、SBM講座・検定の企画をはじめ、メカニック教本など書籍や動画の製作に加わり、将来を担う自転車人材の育成に力を注いでいる。

<目次(一部抜粋)>
第1章 スポーツバイクとは
プロ選手のスポーツバイクは買える!?/日本におけるスポーツバイクの分類は?/電動アシスト自転車の分類は?/アシスト方式とE-bike

第2章 スポーツバイクのメカニズム ―基礎編―
スポーツバイクの構成要素を考える/ハンドルのレバーの役割は大切/フロントフォークはいつ頃曲がった?/ブレーキの種類/スポークホイールの構造/チューブが入っていないタイヤと今/BBってなに?

第3章 スポーツバイクのメカニズム ―応用編―
フレームの設計/フレームの素材/ディスクブレーキとリムブレーキ/エアロダイナミクス/E-bike

第4章 スポーツバイクを構成するパーツ
自転車ねじとは?/タイヤと劣化/ベアリングの献身的な働き/スポークとニップルの関係/おちょことは?/ふんどしは2ヵ所/そのねじは締めないで/懐かしのフラッシャー

第5章 スポーツバイクのフィッティング
ポジションを数値化する/ライディングフォーム/サドルの種類/ハンドルの種類/スタック&リーチ

第6章 スポーツバイクに乗ってみよう
乗り降り/ペダリング/ハンドルを握る位置/コーナリングの基礎/ヒルクライム/適切なギア比を選ぶ

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