トイレの世界一基準、ジェンダーフリー?キレイ?それとも…

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海外から帰ってくるたびに、「日本のトイレは世界一だ!」と声を大にしてさけびたくなる。空港のシャワー・トイレで用を足すとき、日本に無事に帰ってきたことを実感する。すごいなあ。いまはJRのトイレもたいていシャワー付きだ。ホテルのトイレなんか、ビデの位置を前後に動かせたり、マッサージ機能が付いていたり、風が出たりする。

そこまでやる必要はないと思うが、日本の公衆トイレが世界一お尻にやさしく清潔であることは間違いないだろう。「便所」という言葉を連想させないところまで、日本のトイレは進化しており清潔である。どこの国とは言わないけれど、入った途端に回れ右をして退出したくなるようなトイレの、なんと多かったことか。

数年前に訪れたイタリアのトイレなんて、便座が付いていなかった! 最初から故意に外してあるのだ。トイレを利用する人が汚したり壊したりするからだろうか。レストランなどで何度か同じ体験をしたから、これが彼の国では一般的なのだろう。それにしても便座に座ることができず、中腰で用を足すのはかなりしんどい。奥さんに聞いたら、女性用トイレもやっぱりそうだったという。足の短い人はどうするんだろう?

5年ほど前に初めて米国に行って驚いたのは、たいていトイレがジェンダーフリーになっていたことだ。ぼくが旅したのはロサンゼルスやサンフランシスコ、シアトルといった西海岸だから東側の事情は知らない。

例えばスタンフォード大学のトイレには「All Gender Restroom」とあり、女性、男性、車いすのイラストの下に「性別と外見にかかわらず、どんな人でも使えます」と書いてあった。また、キャンプ場などのトイレも、ほとんどがこのスタイルだった。

やるなあ、と思った。1960年代まで、米国では学校、ホテル、レストラン、列車、バスから水飲み場まで、多くの公共的な場所で人種隔離政策がとられていた。もちろんトイレも白人用と黒人用に分けられていた。そんなことを考えると、「よくぞここまで」との思いを禁じ得ない。まあ、日本のトイレもシャワー・トイレ方面では「よくぞここまで」ではあるのだけれど。

(文=作家・片山恭一)

日刊工業新聞2020年12月18日

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