キュービットロボティクスに大手メーカーから共同開発の相談が相次ぐ理由

中野社長に聞く

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キュービットロボティクス社長・中野浩也氏

キュービットロボティクスが、本社を東京都千代田区平河町から同中野区東中野へ移転した。同社が手がけるロボットはカフェロボットや搬送ロボット、除菌ロボットなどで、不動産大手の森トラスト(東京都港区)も資本参加している。コロナ禍で在宅勤務が常態化し、オフィスを都心から郊外へ移す企業が増える中、中野浩也社長に改めて移転理由と今後の方針を聞いた。

―本社を移した理由は家賃削減ですか。

「従来オフィスと比べ面積は約240平方メートルから同120平方メートルと半減、家賃は3分の1になった。在宅勤務のため、出社する社員は4分の1未満だ」

―移転と言っても場所は東京都内です。

「在宅勤務が主といっても週1、2日は出社するので、あまり離れるわけにもいかない。ITベンチャーなら地方でも仕事が可能だろうが、ロボットは実物の世界なので動画像や資料を流すだけではイメージが伝わらない。顧客に納得してもらうためにも、現場に来てもらう必要がある。新本社を選ぶ際はこれを念頭に、1階の立地と、付近に駐車場があること、ロボットを出し入れできる広い間口がある建物にこだわった。展示スペースは十分にとった一方、事務スペースは最小限にしている」

―コロナ禍で外食企業のほとんどは売り上げ不振です。受注に影響が出ているのでは。

「引き合いはさほど減っていない。外食や小売り以上に、複数の大手ロボットメーカーから共同開発などの相談も来ている。半導体や自動車向けの場合、どの工場でどのロボットを使っているかは秘密なので、ほとんど外部に出ない。外食向けロボットは1台でも企業名が出てPRになるため、有望な新市場としてロボット大手の注目が高まっている」

―外食などユーザーサイドからは日本製ロボットは高いとの声が多く聞かれます。

「商談の際は3年レンタルで月15万円が、現実の壁だ。アルバイトの賃金水準を考えると大体説明がつく。3年契約500万円以内の予算でシステムを作らなければならない。国産だと単体だけで300万―350万円。中国や台湾製なら、150万円前後でできる。この差は大きい」

―2021年4月から森トラストの高層オフィスビルで、宅配郵便物の館内配送実験を始めます。

「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業の一環で、エレベーターを移動する高価なロボットとフロアで待ち受ける安価なロボットを使う。ビル全体で受け取った荷物を1階で企業別に仕分けし、自動走行ロボットで各オフィスへ届ける。全てのロボットは共通のプラットフォームとコントローラーで管理制御できる。ビル会社にはコロナ感染防止で、ビルのPRにもなる」

記者の目/食品側の取り組みも必要

から揚げや幕の内弁当の盛り付け作業など、国内ロボットメーカーは参入への関心が高いが、現実の価格の差は圧倒的にある。これを埋めるには精度や作業速度などの部分は思い切り簡略化し、湯気や油など食品特有の課題もクリアする必要がある。同時に、弁当の食材をナゲットのように固定サイズにするなど食品側の取り組みも必要ではないか。(編集委員・嶋田歩)


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