人を数えるカメラ搭載型のAI蛍光灯、「3密」を避けたい飲食・小売りに朗報?
加賀電子とギリア(東京都台東区)、日本電産コパル(同板橋区)は、室内の人数を数える蛍光灯を開発した。日本電産コパルのカメラ内蔵型蛍光灯とギリアの人工知能(AI)技術を組み合わせる。蛍光灯用の電源をそのまま使える。天井から撮影できるため人物検出範囲が広い。現在は概念実証(PoC)の段階だが、試作機は開発済み。受注を集め、2021年秋の量産を目指す。
試作機は蛍光灯型LED照明にカメラを内蔵した。この映像を計算負荷の軽い人物検出AIで分析し、視野内の人数を数える。試作機は無線内蔵で、カメラへの電力供給やネットワーク工事がいらない。蛍光灯用の電源ソケットに差し替えるだけで、人数を数えられる。
飲食店や小売店舗などでは3密回避を保証するために、混雑状況を可視化するニーズが高まっている。カメラと人物検出AIを組み合わせた製品が提案されているが、電源などの問題があった。天井からカメラで撮影できると視野を広くとれ、来店客が重なりにくい。
照明と一体型にすることで明るさを一定に保てる。撮影条件が良く、シンプルなAIモデルでも検出精度を高められる。レジやフロントの前を撮影して来店客数を数えられる。
現在は試作機を使いAIが動くことを確認した段階。落とし物や異物検知など、複数のAI処理をかけるニーズがある。計算負荷が変わるため、量産に向けて演算素子の選定なども進める。
日刊工業新聞2020年12月9日