CO2センサーの需要高まる!コロナが脱炭素の意識変革のきっかけに

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病院での需要が高まる(アステリアのCO2センサー=手前右)

冬場で窓の開閉がしにくくなる中、濃厚接触を避ける「3密」対策として二酸化炭素(CO2)濃度の可視化が注目されている。新型コロナウイルスの感染が再拡大する状況下で、室内の空気入れ替えの時期を知らせるCO2センサーの引き合いも増えている。一方、CO2濃度の測定といえば気候変動対策として欠かせず、「気候変動×新型コロナ」をテーマとした環境教育も始まっている。CO2濃度をめぐる取り組みは、“所変われど”いずれも活況だ。(編集委員・斉藤実)

会議室などの密閉状態では、CO2濃度が基準値を超えると、LEDライトが点灯したり、音を発したりするCO2センサーの需要が増えている。企業だけでなく、病院の待合室での導入も進む。3密対策は目視では限界があるうえ、カメラ映像ではプライバシーへの配慮が懸念される。「CO2濃度 可視化・通知統合システム」を手がけるアステリアによると、「CO2センサーならば待合室でほどよく注意を喚起できる」という。

学校では、文部科学省が定める「学校環境衛生の基準(1500ppm〈ppmは100万分の1〉以下にすることが望ましい)」に従って、コロナ禍以前から、検知管を使って教室内のCO2濃度を測定している。コロナ禍の3密対策と相まって、CO2センサーの役割が再認識されている。

教育現場では、三重県の高田高校が気候変動と新型コロナに対応した環境教育に着目。11月末までに植物の光合成実験と教室の換気実験を収録したオンデマンド型環境学習ビデオを製作し、12月から地元の小・中学校の教員研修を通して環境学習に役立てる予定だ。同校では、植物の光合成実験などを通じて、CO2吸収力の高い緑化木を選定し、その普及を図る取り組みにも着手している。

これらの取り組みには名古屋産業大学の伊藤雅一教授の研究グループと赤塚植物園(津市)が協力。高田高校の取り組みをモデルとした環境教育は、すでに東海3県のいくつかの自治体に提案し、予算化の動きもあるという。「気候変動×新型コロナ」対策を掛け合わせた学習を推進し、その発展形として、脱炭素社会づくりに貢献する環境行動を探究し、実践に移すことを目指している。

インタビュー/名古屋産業大学・伊藤雅一教授 意識変革促すきっかけ

環境教育で「気候変動×新型コロナ」対策をテーマする背景を伊藤教授に聞いた。

―気候変動対策と新型コロナ対策の共通点を教えて下さい。

「新型コロナ対策ではマスク着用や社会的距離の確保など、一人ひとりの行動が感染拡大の回避につながることを多くの人々が実感した。人々の行動変容がもたらす効果は、気候変動対策も同じだ」

―具体的には。

「2020年の環境白書では気候変動対策として、一人ひとりから始まる社会変革がCO2の大幅削減につながると訴えている。気候変動対策でなすべきことは多いが、新型コロナ対策での経験を通じて、皆が日々、責任ある行動を積み重ねることで、社会的リスクを低減できることを学んだ。コロナ禍での意識変化や経験が脱炭素社会に適合した新しい生活様式への変革を促すきっかけにもなることを期待したい」

日刊工業新聞2020年11月27日

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